1/16/2009

ルースインペディメント (裁定集から-2)


「裁定集から」シリーズの第2弾です。(^^;

第1弾はこちら。→ バンブル・ビー(裁定集から-1)



ルースインペディメントについての解釈は、意外に深くてびっくりします、非常に面白いです。


まずは、ルールブックの定義を確認してみます。

***
32 ルースインペディメント(Loose Impediments)

 「ルースインペディメント」とは自然物であり、次のものを含む。

●石、木の葉、木の枝など
●動物の糞
●ミミズ、虫類、その他類似のものおよびその放出物や堆積物
ただし、前記のものであっても次のものは除く。

●固定されているもの、生長しているもの
●地面に固くくい込んでいるもの
●球に付着しているもの

 砂とバラバラの土は、パッティンググリーン上にある場合はルースインペディメントであるが、それ以外の場所ではルースインペディメントではない。
 雪と自然の氷(霜を除く)は、プレーヤーの選択でカジュアルウォーターかルースインペディメントとして処置することができる。
露と霜はルースインペディメントではない。

***

裁定集のルースインペディメントに関するページと、救済(ルースインペディメント)のページもリンクしておきますね。

***

リンクを詳しく読めば、敢えて私が書くことも基本的には無いんですが、ちょっと「へーっ。」って思わされるところをピックアップしてみますね。



「ルースインペディメントは状況により解釈が変わる。」という点が、私にはとても面白く感じられます。

同じものなのに、場所によって、そうだったり、そうでなかったり。
同じ水の凍ったものでも、雪や雹はそうだけど、霜やつらら(や露)はちがう。

また死んでいるか生きているかでも違ってきますし、べとべとしているかしていないかでも変わってくる可能性があります。(笑)


例えば・・・


>ルースインペディメントは建築過程や製造過程の進行に伴い、その取り扱いが障害物に変わることがある。・・・(中略)・・・1片の木屑 (ルースインペディメント) も木炭に造り上げられたときは障害物となる。

と、あります。


へー、木炭は障害物なのか。人工物なんですね。
バンカーとかのハザード内では、この違いは大きいですよ。



それと、パッティンググリーン上だけでは「砂やバラバラの土」はルースインペディメントですが、スルーザグリーン上にあった場合は「砂やバラバラの土」はルースインペディメントではありません。

木の葉なんかとは違って、退けては“いけない”のです。
(まぁこれはご存知の方が多いと思いますが。)

フェアウエーの目土には、ソールするとき以外触れないようにした方が良いです。


どんぐりや石は、地面に固く食い込んでいなければルースインペディメントですが、もし踏みつけられていたりして地面に食い込んでいたらルースインペディメントでは無くなります。


また、裁定集には、「バンカー内の食べかけの梨」まで丁寧に解説されています。(笑)

食べかけで捨てられている梨は(局外者が持ち込んだ)「障害物」ではなく、ルースインペディメントの扱いになります。
(つまりハザード内では、例えボールの邪魔になっていようとも、決して触ることは出来ません。)
バンカーの近くに梨の木があろうと無かろうと、人間がかじった跡があろうと無かろうと、ゴルフ規則上の梨は果実の梨であって、その取り扱いを変えるものでは無いのだそうです。

他にも、「生きている蛇は局外者であるが、死んでいる蛇はルースインペディメントである。」とか、「(バンカー内で)死んでいるカニも自然物であり、したがってルースインペディメントであり障害物ではない。そのカニを除去した場合は規則13-4の違反となる。」などと、非常に詳しく解説されています。(笑)


例えばカミナリで倒れた倒木の場合も、わずかでも樹皮が繋がっていれば自然物、繋がっていなければどんなに大きくてもルースインペディメントである、と、非常に明確です。

ちなみに、どんな大きな岩でも地面に食い込んでいない限りはルースインペディメントで、動かすためにキャディや同伴競技者、観客などの助けを借りても良い、と書かれています。
ただし不当なプレーの遅延にならない限りです。
(タイガーのボールを救済するために、観客10人ぐらいで大きな岩を動かした場面を思い出しますねー。)


仮に、ミカンや桃、イチゴなどの果実にボールが食い込んでしまっていた場合、ボールに付着した芝や泥と同様、今度はボールへの付着物とジャッジされてしまい、どけることが出来ません。


生きている蛇は局外者でしたが、ボールの上にいる生きている昆虫はルースインペディメントです。
ですから、スルーザグリーンでは払いのけても大丈夫ですが、もしバンカー内やウォーターハザードの境界内の地面の上でしたら、ボールや周りの他のものを動かさないように気を付けて、「ふーふー」するなりして、自主的に退くように“促して”あげてください。
払いのけてはいけません。(吹き飛ばしては駄目です。)

もしボールでつぶされて死んでいて、しかもボールにくっ付いていたら付着物になってしまいます。(可哀相ですけどもう死んでますから、パッティンググリーン以外では、そのまま打ってください。)


コースに落ちている遺棄されたボールは、動かせる障害物です。人工物ですからね。
でも同伴競技者のボールは、暫定球とかでもボールとして扱われます。


「石灰や塗料を使用して地上に引かれたギャラリー整理用の線やヤーデージの目安として地上に付けられたマーク」は人工物ですが、実は障害物としてもルースインペディメントとしても扱われません。
あるがままに、そのまま打ってください。


↑の最初に載せた「定義」に、「ミミズ、虫類、その他類似のものおよびその放出物や堆積物 」はルースインペディメントである、と定められています。
蜘蛛とかゲジゲジは昆虫では無いんですが、その他類似のものに入るんですね。
蜘蛛の出す糸とか蜘蛛の巣とかも、例え木とか地面とかに付着していたとしても、「およびその放出物」とみなされて、ルースインペディメントになるそうです。ただし“ボールに”蜘蛛の巣が付着していたらルースインペディメントではなくなります。


なんかねー、面白いですねー。(笑)
私は個人的にこういうの大好きなんです。♡

どちらかというと堅苦しいルールブックの規則も、裁定集で具体例を解説されていますと、とたんに楽しいものになってきますね。




***

実はタイトル画像にしている岩の上にスタンスして打ったときにも、救済は無いかいろいろ検討はしてみたんです。

例えば、「ウォーターハザード(などの境界になっている)石を積み重ねて出来た護岸(←石垣みたいなヤツですかね?)」は、動かせない障害物なんですよね。

この岩は障害物になんないだろうか? でかいルースインペディメントになんないだろうか?(←ないない。(笑))


しかし、「OB区域との境界線になっている柵などは例え人工物でも動かせない障害物からは除外される。」んですよ。 (固定物と呼ばれます。)
白いOB杭でOB区域に指定されてはいませんが、岩の向こうの断崖絶壁はどうみてもOB。
この岩は柵みたいなもんですしね、いずれにしても救済されませんよ、ということで。(笑) (x_x)

もうね、アンプレアブルの措置をとるか、またはスタンスをどうにかしてそのまま打つしかなかった訳です。(笑)



***

追記です。

あと、厳密なことを言いますと、ここのように白杭も赤杭も表示が無くて明らかに断崖絶壁なところに打ち込んだ場合、厳密にはOBではなく、“みなし”アンプレアブルの措置でティーインググラウンドから打ち直す、というルール上の扱いになります。

プロゴルファー猿のような人なら、断崖を降りて行ってそのまま打ってもよいです。(笑)


それ以外のアンプレアブルの措置を取るには、ボールを起点としなければなりませんので、断崖の下にボールを発見して確認しなければなりませんが、3打目としての打ち直しは“みなし”でよいのです。

プレーやスコアにはあんまり影響ありませんけどね。(^^;


7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

虫・爬虫類嫌いなのでゴルフ場で悲鳴を上げることもしばしば
スルーザグリーンで干からび始めたばかりのカエルの死骸に寄りかかって
打ったボールが止まってた時はど真ん中でしたが迷いなくアンプレ取りました

以前、ド田舎のコースのグリーンで
甲羅干しをしているカメ(大きな葉っぱかゴミだと思った)

打ったボールが当たり方向が変わったことありますよ

Posted by:ひゃっぽ at 2009年01月16日(金) 06:54

yspw さんのコメント...

わははは。

ひゃっぽ+さん、ラフでボールが寄りかかった可憐なお花をなぎ倒したくなくてアンプレしたというイギリスのプロ、ハリー・ブラッドショーみたいですね。(笑)
たしか横島プロか誰かにも似たようなエピソードがあったような。

フェアウエー真ん中だったからこそアンプレの措置も可能だったのですから誇ってよいと思います。
ウォーターハザード区域内とかだったらアンプレに出来ません。(でも触んないでドロップできますけど。(笑))


でもこの場合の取るべき措置は、ごじっぽくんかにひゃっぽさん、もしくはキャディーさんか同伴競技者の方を呼んで、このルースインペディメントを綺麗に取り除いてもらうこと、でしたでしょうかね。無罰で打てます。

干乾び始めてて良かったですよ。もしまだ死にたてだったらボールへの付着物だったかもしれませんから、あるがままに・・・!
ギャー!(笑)


甲羅干しのカメさんは局外者ですけど、甲羅干しだから良い方向にキックしたものと想像します。
役に立つカメさんですね。(笑)


Posted by:やきそばパンZ at 2009年01月16日(金) 12:01

匿名 さんのコメント...

ルース・インペディメント・・・・
たしかに おっしゃるように奥が深いです
恥ずかしながら
つい最近まで、雨の日にボールにへばりついた
葉っぱは、ボールが動かなければ取っても良いと
思ってましたよ

Posted by:ぱぱ at 2009年01月16日(金) 21:14

yspw さんのコメント...

ぱぱさん、コメントありがとうございます。

最近とくに技術が発達して気になりますのは、GPSの存在です。

プレーの助けになるような人工の機器の使用は(昔から伝統的に受け入れられて来たもの以外)禁止されている訳ですが、カートにGPSが装備されているケースが増えていますよね。

「事実としての残り距離を知るための助けを得る」ということ自体は同伴プレイヤーから聞くこと(アドバイスにはならない)や、キャディーさんの細かなヤーデージ・メモに聞くこと、も含めて許されているので、まぁゴルフの理念には反しないのかなー。とか思うのですが、どこか釈然としません。
競技会ではGPS付きのカートって使わないのでしょうけどね。

私はコースで売ってたりくれたりするヤーデージブックが好きなので、それとスプリンクラーヘッドに書いてある距離を参考にしてプレーし、GPSはあんまり頼らないようにしています。
(確固たる理念を持っているからではなく、アバウトが好きだからなだけです。(笑))

ピンの位置は手前・中・奥が旗の色で判るだけで平均+/-7y(14y幅ぐらいの位置差ですね。)ぐらいのアバウトな表示なんですよね。
GPSをよく見て、ピンまでの残り距離をよく確認したところで大してスコアが良くなんないところが下手くそたる由縁なんですが。(笑)


Posted by:やきそばパンZ at 2009年01月17日(土) 06:20

yspw さんのコメント...

そうそう、ぱぱさん、

一本足のグリーンフォークを無料配布しているゴルフ練習場がありました。

アーリーバード


埼玉県なんですけどね。アーリーバードっていうところです。

20年ぐらい前、この練習場が出来上がったばっかりの頃に友達がバイトしてまして私も何度か打ちに行ったんですが、グリーンもスピンがかかっていれば止まるように出来ていて、とても気持ちのいい練習場でした。(場所柄もあって)料金も安いですし。
3年前、暴風雨でフェンスが壊れちゃって大打撃を受けたんですが、元気に復旧した不屈の練習場です。

一本足フォークでの直し方解説も上手に書いてあります。

Posted by:やきそばパンZ at 2009年01月17日(土) 06:21

匿名 さんのコメント...

おはようございます
またまた、お勉強のチャンスをありがとうございます。
ボールの先にある土の固まりは偶に遭遇します。
な~んだ、どかして良かったのか!
でも、どの程度を固まりというのでしょうか?
やっぱり周囲の土との比較なんでしょうか?
ルールの解釈が曖昧だと思ったら、スコアーカードなどにメモして裁定集で確認しておく習慣をつけたいですね。
私、キャディーマスターに聞いて済ませてしまう事が多いです。自分で調べれば前後の予期せぬ裁定も目に止まりますね。次回から即実行しましょう。

Posted by:ノリさん at 2009年01月18日(日) 08:55

yspw さんのコメント...

さすがノリさん、目の付け所が違います。

土は非常に難しいです。


土の固まり(なぜJGAは塊と言う字を使わないのかな?原文は“clod(土くれ、土塊)”です。)
イメージされているのは、エアレーションした時に抜かれる棒状の土とか、泥が固まって出来た塊の土とかです。


穴掘り動物(っていうのはモグラとかウサギとかプレーリードッグとかです)が掘って出来た「穴の盛り土」は触ってはいけないことになってます。

しかし蟻塚は(蟻は穴掘り動物ではないので)取り除いてよいとされています。修理地のような扱いになるみたいです。


しかし一方で、25-23でモグラ塚(やその残り)も取り除いてよい、とされていまして、非常に微妙です。

「モグラ塚」は「地面の異常な状態」に所属し、「モグラの盛り土」は固まっていないバラバラの土であると言う解釈なのです。


私が思いますに、パチンコ球以下だったら触らぬ土に祟りなし、ってところでしょうか。(笑)



今日、実は競技形式のトーナメントに出場して来ました。(笑)
久しぶりの緊張感。

記事でアップします。

Posted by:やきそばパンZ at 2009年01月18日(日) 09:48