久しぶりに、ルール関係カテゴリーの記事です。(^^)
ゴルフマスター(塾長)さんのブログに、99年フェニックス・オープンの最終日にタイガーが動かした1トンはあろうかという巨大なルースインペディメントのお話が出てきていました。
「ルールについて 3.」
そのすぐ次の記事では、「自分に不利になるように処置しておけば間違いないだろう」とか、「ゴルフ武士道」のようなものに則ってひたすら自分に厳しく処置をすれば良いと考えるのは早計である場合がある、というお話を書いていらっしゃいます。
私は実は常々、ルールは出来る限り正しく学び、ルールで許される範囲で最善の処置を為すことこそ、ゴルフと言うゲームを楽しむ & なるべく良いスコアをしようとする者のresponsibility(責務)であると考えています。
有名ですが 一応再録しておきますと、件のタイガーの件はこんな感じです。
写真をクリックで元のサイトにリンクしてます。
99年フェニックス・オープンの最終日(Jan 31, 1999)、TPCスコッツデールのパー5の13番ホールで、タイガーのティーショットは大きく左に逸れてホール左のカート道よりも外側の砂漠地帯へ行ってしまいます。
ボールは上の写真のように、大きな岩(boulder)の近くに止まっていました。
しばらく観察した後、タイガーはルール・オフィシャルのOrlando Pope氏に、この岩はルース・インペディメントにならないか?と質問します。
そしてPope氏は、これは地面に食い込んでいないのでルースインペディメントである、と正しくルーリングします。
その場に居たタイガー・ファン有志総勢10名ほどで、この岩を動かし、グリーン方向への飛球線を確保したタイガーは2オンを狙っていき、結局このホールでバーディーを獲得しました。
これは過剰救済だったのではないか?
・・・と、その後も何年にも渡って物議を醸した事例です。
USGAのルールに関する歴史的出来事として、こちらに詳しく内容が書かれています。↓
http://www.usga.org/news/2009/january/10-Years-After-Tiger-s-Loosem-Impediment-Ruling-At-Phoenix-Open/
なにもタイガーの件が最初というわけではなく、裁定集のDecision 23-1/2に、"Large Stone Removable Only with Much Effort." という項目があります。
そこには、"any size (いかなるサイズであろうとも)" と、はっきり書かれています。
その上、その次のDecision 23-1/3 "Assistance in Removing Large Loose Impediment"という項目に、"spectators, caddies, fellow-competitors, etc., may assist a player in removing a large loose impediment (観客やキャディー、同伴競技者やその他の者がプレイヤーが大きなルースインペディメントを動かすのを助けても良い)" と書かれてもいるのです。
実際この項目は、50年ほど前のイギリスで行われたトーナメントで起きた事例を元に書き加えられたもので、タイガーだから特別措置が行われたというようなジャッジでは無かったのです。
この時のルースインペディメントは倒木だったそうです。
裁定集を読みますと、倒れている木でも例えば皮一枚でもつながっていて生きていればルースインペディメントではないが、倒れている木はルースインペディメントである、とはっきりした区別が書かれています。
しかしいくらなんでもこんな大きな木を・・・、と思ってしまうかもしれませんが、
それでは折れた小枝がボールに乗っていた場合は? 腕ぐらいの太さの枝なら? 太腿ぐらいの太さの枝なら? ・・・と考えていきますと、合点が行きますね。
要するにどこで線引するか?という問題なんです。
木の場合は生きているかいないか。 石の場合は地面に食い込んでいるかいないか。
重さや大きさで線引していないのです。
コース上で測れるわけではないですから。 測定器具は禁止されていますし。
この時のTPCスコッツデールの13番の岩は、今では元の位置に戻された上でタイガーの事件を記念するプレークが取り付けられているそうです。 ↓
http://www.flickr.com/photos/33015039@N00/2494174288 (←画像です。)
ゴルフは、自分を自分でジャッジする(とはいえプロトーナメントではジャッジするオフィシャルの人たちがかなりの人数居るわけですが)特殊なスポーツですから、いわゆる「ゴルフ道」のような考え方が発達するのもよく分かります。
しかし一方で、ルールをきちんと理解して読んでおけば、無駄に自分に厳しく(あるいは塾長殿が書かれていた事例のようにルール違反を犯してまで自分に厳しく)処置をする必要は無いのです。
私が今までのルール関係カテゴリーの記事で取り上げてきた中にも、”ゴルフ武士道”的には「?」となるようなものが幾つかありましたですね。
今月のゴルフ・マガジンのルール・コーナーにもこんなものがありました。
あるNJ州の一般プレイヤーからの質問で、
僕がラフに打ち込んだ時のこと、ボールの確認のために拾い上げたところ自分のボールでした。
その時にボールには泥の塊が付いていました。
拭き取りはしませんでしたが、ボールを戻すときに泥をあちらの方へ向けクラブフェースで打たないようにしましたが、どうも罪悪感というかルール違反だったのではないかという疑念が消えません。
これに対しての解答は、
ご心配なく。
ルール21/5に基づけば、ボールを元の位置に戻したのである限り、どの向きでボールを置こうが大丈夫です。
唯一の例外は、ボールに付いた泥が下に向くようにしてティーアップしたような状態にするのは駄目です。 ルール20-3aにより、1ストロークのペナルティーになります。
というものです。
”ゴルフ武士道”的な考え方をなさっている方には、とても意外な解答だろうかな?と思います。
(ボールを拾上げて確認するときにマークすることを忘れないでくださいね。)
でも、グリーン上でボールをマークした位置に戻すときに、ボールの向きを変えることに躊躇する方は居ないと思います。
ボールに線を引いている方は、それをカップ方向に合わせて置いたりするわけですから。
まぁ、あくまでもルールはそうなっている、というお話です。(^^;