PGAの2013年シーズンも開幕しましたね。
Abu Dhabi HSBC Golf Championshipでは、Nikeと大型契約を結んで今季から移籍したワールドランキングNo.1 プレイヤーのローリ・マキロイと、Nikeと大型契約を結んでいるすでにLegendのタイガー・ウッズの二人が初日・2日目にマーティン・カイマーと同組にペアリングされて話題になりました。
画像をクリックで画像元にリンクしてます。
あいにく二人揃って予選落ち、カットされてしまったのですが、ローリーの方はニック・ファルドが懸念していたように道具総取っ替えによる不調でしょうか?
慣れるまでしばらくかかるかも知れませんですね。
1日目を終了した後、パターをNikeのMethodから昨年まで使っていたスコッティ・キャメロンに戻した辺りに、調整の難しさが現れていると思います。
けっこう時間かかるんじゃないでしょうかね?
タイガーの方は、1日目出遅れた後、2日めには持ち直して予選通過するペースではあったのですが、5番ホールのボールの処置に関するペナルティーで2打罰を加算されまして、1打及ばずに予選落ちしてしまいました。
11番ホールで競技委員によってタイガーに2打罰の連絡が届いたそうです。
さてその問題のペナルティーになった事例の内容ですが、ルールには詳しいタイガーが処置を間違うくらいですから、ちょっと複雑です。
こちらが5番ホールの全景。 (下の動画からのキャプチャー画像です。)
タイガーのボールは、右側のウエイスト・エリアみたいな中のブッシュの浅い部分に飛び込んでいます。
ローリーは左のバンカーの縁、カイマーがフェアウエーの右サイドですね。
こちらに当日の中継の動画がありますので、見てみましょう。
どうやら放送の解説を聞いてみますと、つた植物の中の地面にボールが食い込んでいるため 出来るだけ近い場所に無罰でドロップしている、・・・という状況の模様です。
アンプレアブルであれば、クラブを持ちだして2クラブ・レングズ測って場所を選び、ドロップ位置を決めるはずですからね。
ちょっと分かりにくいのですが、地面に食い込んだボールが救済されるのはフェアウエーだけのはずです。
ルールブック上はスルー・ザ・グリーンは全部ラフもフェアウエーも関係無くスルー・ザ・グリーンとして扱われますので、唯一ルールブック上で芝の短く刈られた区域(すなわちフェアウエーのことです) が特定されて書かれているのが、実はこの地面にめり込んだボールの項目だけなんですよね。
もう一つめり込んだボールが救済されるのは、「異常なグラウンド状態」の場合かと思います。
通常は雨でぬかるんでいるケースが主だと思います。
動画ではどんな状態かまでは伺えませんが、かなりボールがめり込んでいて、マーカーのカイマーから見ても、「ああこれはドロップして良いね。」という状態だったのではないかな、と想像いたします。
本当にどういう状況でどういうジャッジだったのかは、今回の場合は私には判然といたしません。
しかしオフィシャルは、ここをバンカー内とジャッジした模様です。
これ、なんか思い出しますねー。
2010年、ウィッスリング・ストレイツでのPGA チャンピオンシップ(全米プロ)最終日の18番ホールでダスティン・ジョンソンにペナルティー架せられたあの出来事です。
その時の記事。 ↓
「これがバンカーってのは、無いよなー。」
「デイビッド・プライス氏側の説明」
あの時は、オフィシャル(デイビッド・プライス氏)が問題の18番の件以外でも、別の16番ホールでバンカー内のルースインペディメントをどけても良いと(ルール上 大間違いの)発言をしたとか、もうグダグダで後味の悪いジャッジでしたが、今回のも微妙ですねー。
面白いのは、あの時ダスティン・ジョンソンに追いつかれることなくプレーオフの末にバッバ・ワトソンを下して優勝したのが、今回のタイガーのマーカーだったマーティン・カイマーだったんですねー。
因果でしょうか。
バンカー作るんなら、もっと伝統的なバンカー作って欲しいですね。
じゃなけりゃ、こんなのは全部ウエイスト・エリアに指定すべきだと思います。
こんな長々した馬鹿でかい、均すためのレーキも置いていない、木やつる草が生えてる区域をバンカーとするなんてのは断じて間違っています。
再来年またバンカーが1,200個あるウィッスリング・ストレイツでメジャー大会が開かれますが、きっとまたなんか起きますね。
ちなみにですが、バンカー内に生えている木や植物はルール上、バンカーではありません。
生えている以上、ルースインペディメントでもありません。
今回の場合、タイガーが取るべきだった措置は、バンカー内なので自分のボールの確認のために少しだけ砂を払い除く、そしてそのまま埋まったボールを無理やり打つか、もしくはアンプレイアブルを宣言して1打罰を払いバンカー内で 2クラブレングズ以内のホールに近づかない位置にドロップする。 ということだったとなりますでしょうか。
(そのドロップした位置が、つる植物の葉っぱの上だったらバンカーじゃないですから再ドロップですね。 ・・・馬鹿げてます。)
タイガーには結局、誤所からのプレーの2打罰と、バンカー内でボールをピックアップした1打罰が違反になりますが、一つの行為で同時に2つの違反が重なったため、高い方を取って 2打罰となります。
さらにちなみにですが、誤所からのプレーは、(すごく近づいて有利になったなどの)重大な違反が無かった場合には最終ホールのパッティンググリーンを離れる前までに罰打を加えてスコアの修正をし、ストロークのやり直しをせずにスコアとします。
※ デイビッド・デュバルも今年からNikeと契約してツアーカードの再取得を目指しているそうです。
応援します!
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追記:
パット・エイミング教本の細貝さん から、メールをいただきました。
私はローカルルールを把握しないでTVを一部見ましたので今回なにが起きたのか謎だったのですが、サンディエガンさんのコメントと、細貝さん のメールで、ようやく理解出来ました。
(本来の) ルールでは限定的となっている救済を、多くのゴルフ場ではローカルルールで「スルーザグリーン」に広げる緩和策を取っています。日本のゴルフ場のローカルルールは、無条件に全てのスルーザグリーンでの救済を認めるようになっていますが、コース内に砂丘やウエイストエリアなどを抱える欧米(&中近東?)のゴルフ場では、この(球食い込み)ローカルルールに『ただし砂地を除く』という但し書きを付加していることが多いとのことです。
アブダビのコースのローカルルールも「砂地を除くスルーザグリーンでは食い込み球は無罰でドロップできる」となっていたのです。タイガーの球が食い込んでいた箇所は(つる草状の)草がぼうぼうのところでしたから、タイガーは「スルーザグリーン」だと思い、競技委員を呼ぶことなく、食い込んだ球をピックアップしてドロップしてしまったところ、後から、あの場所は「砂地」だと判定され、2打罰となったのです。
アブダビのローカルルール(英語)がどう書いてあるのか調べてないのですが、テレビ中継での日本語の説明を聞く限り、あの草ぼうぼうの場所を「砂地」だと言うのはタイガーに酷ではないかと思われます。多分、ローカルルール(又は競技規則)の原文では、救済の対象が「スルーザグリーンただしウエイスエリアは除く」というような表現になっていたのではないかと想像します。
気になったルール解釈は、いつも考えてみるようにしています。
ありがとうございました!