20年前ころの日本では、この名前はほとんど聞くことがありませんでした。
最近は、タイガー・ウッズが「スティンガー・ショット」とか、「ノックダウン・ショット」といった名前を使いますし、日本でも浸透してきたかも知れませんね。
ノックダウン・ショットは、日本ではかなり誤解されて理解されているケースが多々見受けられます。
日本に限らず、米国でも誤解されているケースは散見します。
パンチ・ショットと同一だと思っている勘違いなんかは、一番多い間違いです。
あと、低く出て鋭くスピンが利いたボールだと思われている勘違いも非常に多いです。
(結論から言いますと、あちこちでいろいろな解釈がなされているようですので、あながち上記のような勘違いも勘違いではなく、バリエーションの
1種だと思えばいいのかも知れません。)
私が最初にこのショットの名前を聞いたのは、ジャック・ニクラスのレッスン・ビデオでしたので、私の解釈では、ニクラスやパーマー、ファジーゼラーの言うショットが本当のノックダウン・ショットだと思っています。
二クラスに拠りますと、あたかもフラッグ(ピン)をノックダウンするかのような弾道でピンを狙ってコントロールして打つショットだと言うことでした。
通常のショットに比べ、弾道が低く、スピン量が少ないため、向かい風の時には特に有効なショットだが、ディボット跡にボールが入っている時や、風に関係なく距離をコントロールしてグリーンへアプローチする時にとても有効な、便利なショットだそうです。
打ち方はこうなります。
グリップをやや短く持ち(choke down)、ボールを右に置き(play the ball back)、ややオープンスタンスで(open your stance up)、左足に体重を掛けて(weigh on your left side)ハンドファーストに構える。クラブは、1クラブから2クラブ大き目のクラブ(take extra 1 or 2 more clubs)を使用する。
テイクバックはスリークォーター、インパクトからフォロースルーではリストを返さず手首の角度を保ったまま振り、地面と平行な程度まで振り抜いて終わる。
Golf Magazineでトップ100ティーチャーに選ばれている一人、Mike Benderがノックダウン・ショットを動画で説明しているのがここで見られます。
http://www.golf.com/golf/video/article/0,28224,1739018,00.html
Mike Benderの場合は、テイクバックが腕が9時の位置(地面と平行)までで(または10時くらい)、フォロースルーは3時の位置(地面と平行)まで、しかもクラブも地面と平行です。
このビデオで、Mikeはミケルソンの「ロー・パンチ」という表現も使っています。
(この辺もちょっとまぜこぜになっている部分ですかね。)
向かい風(head wind)に有効なのですから、スピン量は少なくなくては意味がありません。
(安田春雄などが得意としたいわゆるパンチショットはスピンが強く利いているボールでしたね。)
キャロウエイ提供の、Joe Beckのノックダウン・ショットの動画(Youtube)。
http://www.youtube.com/watch?v=DZdn0vmTJWs&feature
Joe Beckの場合は、10時から2時のスイングですね。やはりリストは返していません。
テイクバックは10時ですが(Normal Backswing)と解説されています。
クラブを低く出すように(keep the club down)との注意もあります。
最後に、「That is what I am talking about!(「ねっ、寄ったでしょう!」あるいは「これですよ、これ!」←意訳です。)」って決め台詞。アメリカ人らしいノリ。(笑)
ここ↓には、ファジー・ゼラーのちょっとした助言(quick tip)が載っています。ちょっと読んでみましょう。
http://golf.about.com/b/2006/05/08/quick-tip-from-fuzzy-the-knockdown-shot.htm
『いろんなゴルフ雑誌の、ノックダウン・ショットをどうやって打つかというハウ・ツーを読んで信じ込んじゃうとね、沢山のこと考え過ぎてこんがらがっちゃって、クラブをテイクバックするのも難しくなっちゃうよね。それに一般人は雑誌の通りにノックダウン・ショットをやろうとすると速く、強く振っちゃう傾向にあってね、それってかえってボールを吹き上げちゃう事になるんだ。』
『キーポイントはね、このめちゃめちゃ複雑なゲームを出来るだけシンプルに保つこと。
普段のスイングなら6番アイアンで打とうって時にボールを低く打ちたいとするでしょ、そしたら5番かもしくは4番でもいいからグリップを短く持つんだよ。で、いつもよりもっとスムーズにスイングする。このやり方だとボールのスピンが少なくなるんだ。ってことは弾道も低くなって、ノックダウン・ショットになるんだよ。』
このノックダウン・ショット、USGAが最近出したレッスンDVDでも説明されています。
その中では、テイクバックは腕が9時の位置、フォローは3時か2時の位置のゆっくりしたスイングで、やはり短く持っていました。スピンもあまり利いて居ませんでした。
あなたの120yの(飛距離の)クラブを使って、(向かい風の中)75yを打ちますよ、ということでした。風が無ければ85y-90yぐらい打つイメージでしょうか。
振り幅が小さいので、コントロールが利き易いんですよね。
リストターンが無いので、方向性も出し易い。
そういう訳で、向かい風でなくても、使い勝手のとてもいいショットなんです。
私は距離感がいまいっちょピンと来ていなかったのですが、
サミュエル L. ジャクソンを練習しがてら、もう一度基本に立ち返ってノックダウン・ショットを練習し始めました。
今までも使っていたのですが、ファジーゼラーの言うとおり、今までは鋭く打ち込んでパンチ気味になっていて、向かい風では使いにくい代物になっていましたので、ここで修正です。
(ちなみに一説によると、追い風の時には低くてスピンの多いパンチショットが有効だそうです。・・・そうなんですか?)