裁定集からシリーズの第3弾です。
バンブル・ビー(裁定集から-1)
ルース・インペディメント(裁定集から-2)
私の知る限り、ルール上で「最も悲惨で悲しい状況」があります。
ゴルフ規則の第3章、規則28、アンプレアブルの中の、裁定集の28/5に記されている事例です。
28/5 アンプレヤブルな状況の場所からの脱出が、1回の救済を受けただけでは不可能な場合
質問: あるプレーヤーが球をA点からB点に打った。B点は球を脱出させるのが非常に困難な場所にあったので、プレーヤーはその球をアンプレヤブルとみなすことを考えたが、アンプレヤブルにするとすればストロークと距離の罰(規則28a)のもとに処置するしかなさそうであった。すなわち、規則28bにより球のあった箇所の後方にドロップすることはアウトオブバウンズの境界柵があって不可能であったし、規則28cにより球のあった箇所の2クラブレングス以内にドロップしようとすれば、その区域から脱出するために何回もそのようなドロップを繰り返さなければならないような状況であった。結局、プレーヤーは救済を受けずにB点からプレーすることにしたが、球は数フィートしか動かずC点に止まった。ところが、今度こそは明らかにアンプレヤブルであった。この場合、規則28aに基づいて、プレーヤーは、
(a)C点の球をアンプレヤブルとみなし、1打の罰を加えて球をB点にドロップしたあと、
(b)B点にドロップしたその球をアンプレヤブルとみなし、更に1打の罰を追加して球をA点にドロップすることができるか。
これはどういうことかと言いますと、下の写真のようなところに打ち込んでしまったが、たまたまボールが黄色いこんもりした部分とかに乗っかって浮いていて、打てそうだったとします。↓
画像をクリックで拡大します。
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サボテンの一種が、まるで草のようにくるぶしぐらいの高さで密集しているところがコースのラフの外側にあったりすることが、私の周りのコースには少なくなくて、時として、この上にボールが乗っていて、いかにも打てそうな場合があります。
ホールに近付かない後方線上に下がろうにも、良い場所がまるでありません。
で、頑張ってあるがままに打ってみる。
ミスる。
数フィートしか飛ばなかった上、今度はボールが奥に沈み込んでしまいます。
今度は完全にアンプレアブル。
そういう状況ですね。
問題は、B点であるがままに打ってしまったことによってすでにC点に来てしまっており、その前のA点に戻って打ち直す、という選択肢がなくなってしまう訳です。
裁定集の回答を見てみます。
回答: 規則28aにより処置する場合、プレーヤーはその球を最後にプレーした箇所(B点)にできるだけ近い所にだけ球をドロップすることができ、A点にまで戻ることは認められない。
質問のケースのような場合、認められる唯一の方法としては、球をプレーすることが可能な箇所に到達するまで、プレーヤーは規則28cを繰り返し適用する(C点から始め、その都度、横へ2クラブレングス以内に球をドロップする) しかない。
「認められる唯一の方法」とされているのが、2クラブレングスずつ1打罰を払ってドロップしていき、脱出できるまで繰り返す、という方法だけなのです。
なんという作業! & 罰打!(x_x)
最初にB点でアンプレアブルしておけば、A点に戻って打ち直せたのに!
という事例です。
もうひとつおまけ的なケースを。
ちょっと盲点な感じの、気が付きにくいかも知れない事例があります。
17-4/4 プレーヤーが旗竿を抜いたら、旗竿に寄りかかって止まっていた球がホールの外に出る(ホールのふちに球をプレースしなかった場合)
質問: プレーヤーの球が旗竿に寄りかかるようにして止まっていたので、プレーヤーが旗竿を抜いたところ、球がホールの外に出てしまった。プレーヤーはその球が止まった所からプレーしてホールアウトしたが、この場合、どのように裁定すべきか。
旗を抜いたところ、ボールが出てきて上の写真のような感じの状況で止まり、これをタップインした、という訳です。
・・・どういう裁定になるのでしょうか?
回答を見てみましょう。
↓
回答: プレーヤーはその球をホールのふちにプレースすることを要した(規則17-4)。
マッチプレーでは、プレーヤーはそのホールの負け……規則17-4と規則2-6。
ストロークプレーでは、競技者は2打の罰。球はホールアウトされたものとみなされる……規則17-4と規則3-5。
『ボールに触らなければいけなかった』という事例です。
加えまして、間違いを正すためにリプレースして打ち直す必要が無い (というか許されない)、ということも意外に落とし穴だと思います。
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追記:
ルール関係の記事、シリーズ化になることになりそうです。