なぜに大きく曲がるラインと言うのはかくも難しいのでしょうか?
先日、「ムーアパーク・カントリークラブ」をラウンドしたときに、1歩-4歩(約70cm-2.8m)をことごとくB側(谷側のアマチュサイド)に外しまして、これはきっと何かが大きく間違っているに違いない、と考えるに至りました。
先に結論から書いてしまいますが、
どうやら私のパッティングは、根本的にレベルが低く、スピードが速く曲がりの大きいグリーンに対してのグリーンの読みも出来ておらず、経験値も不足している上、グリーン上における物理現象をきちんと理解すらしていなかったことが、(デーブ・ペルツのパッティング・バイブルを読み進めてみて)判明しました。
それを基に、いま練習に取り入れ始めたパッティング練習をノートしておこうと思います。
見た目的には、こんな練習です。
とりあえずは苦手なスライスラインではなく、フックラインから始めてみています。
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この写真はほぼ水平を出して写しておりまして、右上の端の方に写っている建物や木を見ていただけますと、そのことが分かるかと思います。
一番好きな16フィート(約4.8m; 私の場合7歩)の距離でセットアップしましたが、もっと近い距離でも有効だと思います。
フックラインは明らかですが、全体には登っているようにも見えますでしょうか?
ライン自体は左へ曲がって行きますから、下りのパットになって来ますね。
ただ、写真を見ただけでは、この練習目的の真意は分かりません。
このパットを、まずは自分が見たままにラインを想定し、パットしてみました。
ここは普段来ない練習グリーンでして(先日のマイル・スクエアです)、練習グリーンに到着してすぐ、なんの下知識も無く打ちました。
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水色のラインが想定したラインで、青色のラインが実際のボールが通った軌道です。
カップのB側に楽勝で外れているのも当然ながら、グリーン上に落ちている木の陰を通り過ぎた辺りからボールはスピードを上げ、3-4歩(約2-3m)ほども転がってしまい、見事な3パット・コースです。
青色の線が、出だしで水色の線よりも右側へ出ているところを注目しておいて下さい。
下りになる(左右どちらへでもよいのですが)曲がりの大きいラインが実は、例え距離が短くても3パットになる「ダウンヒル・スライダー」と呼ばれるラインでして、多くの場合、例えば大きく曲がる横のラインであっても後半が下りになりますから、ペルツの言う、非常に危険な「ダウンヒル・スライダー」になり得ます。
では、なぜに大きく曲がるラインと言うのはかくも難しいのでしょうか?
曲がり具合が判らないんだから当たり前だろ?
経験する機会・回数が少ないんだから、難しいんだよ。
私もそう思っていました。
しかしながら、このパットを2度、3度と打ち直してみましたが、かなり極端に狙いや強さを変えない限り、何度打っても、違ったラインは描くものの似たようなB側に大きくオーバーの結果になりました。
実は、大きく曲がるラインが少なく曲がるよりも遥かに難しい理由、それも物理的なそして人間科学的な理由が存在していたのです。
にわかには信じがたい話ですので、本当はまずはパッティング・バイブルを全部丁寧に読んでみるべきなのですが、・・・できるだけ簡単に説明してみます。
多くのアマチュア・ゴルファーは、実に90%ものパットをB側(カップの谷側)に外している、というのはペルツが何度も言っていますし、雑誌などにも載っていて、すでにご存じの方も多いと思います。
(デーブ・ペルツは、「トゥルー・ローラー」と言う、↓の写真のような道具を使います。)
写真をクリックで画像のリンク先に。
ボールをセットする高さを調節することによって、ボールのスピードを調節します。
誰よりも真っ直ぐにボールをラインに乗せることが出来る装置です。
「Aiming line」というのは、ボールから狙い目の目標に向けて引いた直線のことを言いまして、カップの縁から何インチ(または何フィート)と言う風に表現します。
最初の一番目の写真に戻るのですが、本当の狙う位置はどこなのか調べた上で、目標にティーを刺しました。
Aiming lineは一通りしか存在しません。
曲がるラインは、打つ強さによって様々なカップインできるラインをとり得ますが、オプティマム・スピードで行ってカップを17インチ通り過ぎる強さで出来るラインは1本しか無いのです。
ペルツの研究に拠りますと、こういう信じがたい事実があります。
まず、本当のAiming lineは隠しておいて、アマチュアのゴルファーにどのくらいの大きさのbreak(曲がり)を読むか、カップの縁からのインチ数で表現してもらいます。
すると驚いたことに、ほぼ例外なくみんな、Aiming lineに対して約1/3の
break(曲がり)しか読まないと言うのです。
いくらアマチュアがいつもB側に外すからと言っても、1/3は無いんじゃないの?って思ってしまいますが、これは何万人ものデータを取った上での事実です。
さらに驚いたことに、ツアー・プロでさえ、聞いてみるとほぼ例外なくみんな、本当のAiming lineに対して約1/3のbreak(曲がり)しか読まないと言うのです。
その裏には、subconscious(潜在意識)のなせる、実に面白い事実が隠れていました。
「ではあなたの読んだラインに構えてパットして下さい。」というと、ほとんど全員がこれまた不思議なことに自分の読んだラインの狙い目よりも、
Aiming line方向にずれてパターを構えるのです。
フックラインなら、右にずれて構える。
その量は、本当のBreakの約2/3ぐらい。
真っ直ぐなラインに真っ直ぐ構えるときはそんなことは起きないのに、傾斜地で曲がるラインに構えると、途端にそうした補正が出てくるらしいのです。
これがまた、どうもですね、無意識に起きていて、誰も自分がそんなことをしているとは夢にも思っていない、自分では気付かずに補正を入れていると言うのです。
ツアープロにも、全く同じ現象が起きている。
さらにですね、パットを打ってもらうと、今度はストロークにもsubconsciousからの補正が入って、さらに右に打ち出すのだそうです。
一般のアマチュアで、本当のbreakに対して85%ぐらいまで補正されます。でもまだ足りない。
ツアー・プロですと、subconsciousの補正トータルで95%ぐらいまで補正されるそうなんですね。
ここまで補正されると、カップインするパットが出て来ます。
(しかしながら、ツアープロとて、大きく曲がるラインほどB側に外す傾向が出てくるそうです。)
私は、トゥルー・ローラーを持っておりませんので、ボーリング式に手でボールを転がして、ほぼ正しいAiming lineを割り出してみました。
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オプティマム・スピードになるスピード(強さ)と、カップインするラインの組み合わせを見つけなくてはなりませんので、トゥルー・ローラーが無いと実に根気の居る作業になります。(笑)
まぁ、大体合ってるかな?っていうところを見つけて、ティーでマーク。
カップの傍にボールが佇んでいますね?
オプティマム・スピードにはちと足りませんが、あそこにボールが止まるまで20数回を要しました。
(ある意味パットより難しいか?(笑))
でも、ホントのAiming lineが知りたいのだから仕方ありません。
あそこへ構えて打って行ってカップインするのが、本当の目指すべきラインです。(白い矢印です。)
ところで、上の写真を見ていただきますと、私のパットは見事にペルツ先生の言うとおりになっています。
初めの読みは約1/3、しかし実際に打ったラインは読みよりも右にブレている。
構えとストロークでどちらがどのくらい無意識に補正したか分かりませんが、ボールの転がりのラインの打ち出しの接線方向に線を引いてみますと(紺色の矢印)、どうやら本来のラインの85%ぐらいのところまでは補正されているようです。
んー、ペルツ先生、恐るべし。
ボールがB側に外れるだけでなく、カップから大きく遠ざかってしまうのには、実は深い理由がありました。
私が7歩の距離で打つデジタルパットを大きくしくじっている訳ではないのです。
そして、冒頭の疑問に戻りますが、なぜに大きく曲がるラインと言うのはかくも難しいのでしょうか?
カップの幅ぐらいしか曲がらないパットにはカップインするためのブレの許容範囲が大きいのは分かります。
しかし、ここまで大きく曲がるラインではなくても、カップを外して狙うようなパットには、正確な距離のコントロールと曲がりの読みがカップインには必要なのですから、パットの難しさとしては変わらない筈?
まして、本当のAiming lineが判っているなら、なおさら差は無いはず。
特に、デジタルパットの得意な距離で距離のコントロールを容易にしているのですから、曲がり幅の大きい小さいは読みの要素を除けば難しさに変わりは無い筈なのですが、
・・・実際には大きな曲がりのラインの方が何回打っても外れる回数は多くなり、残る距離も長くなってしまい、難しいのです。
お話は佳境に入ったところで甚だ中途半端ですが、「追記」に本文より少ない字数制限が在ってはみ出しそうですので、次の記事に続きを譲りたいと思います。(^^;
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