今年(2010年)のジ・オープン、ルーイー・ウェストハイゼンの圧勝で終わりましたね。
そして今回、タイガーのナイキ・パター使用に注目が集まりました。
このパター実はすでにメジャーで2勝を上げています。
昨年ターベリーで行われた全英オープンで、トム・ワトソンに最終ホールで追いつきプレーオフで勝ったスチュワート・シンク、そしてやはり昨年NYのベスペイジ(ブラックコース)で行われたUSオープン勝者のルーカス・グローバーです。
しかしタイガーの使うパターとなりますと、知名度も売り上げも大幅にもう全然違ってきます。
なんでもかんでもタイガーならいいってもんでもないだろうと思うのはこちらの勝手ですが、市場はそうなってるんですから仕方ありません。
(写真はNike.comから。画像をクリックするとリンクに飛べます。)
(ミシェル・ウィーや、ポール・ケイシーもメソッド・パターを使用しているようですね。)
こちらの記事によりますと、ウッズが99年から11年間愛用し、13個のメジャー・タイトルを勝ったスコッティ・キャメロンのニューポート2モデルのパターと、今回ウッズが全英に投入したナイキ・メソッド001のパターは仕様がほぼ同じで、ライ角も同じ、サイトラインのドットも同じ、グリップも同じピンのグリップを使用して仕上げてあるものだそうです。
ただし、ロフト角はメソッド001のスタンダード・ロフトで、1度立っている2.5度になっているそう。
(ナイキのカタログ・スペックには2度ってなってますけどね。)
開発段階から、ウッズの意見を取り入れ、キャメロンに何かあった時の
バックアップパターは、いつもこのメソッド001だった、とのコメントも載っています。
ナイキのサイトの
上記リンクのページに、メソッド・パターのポリメタル・グルーヴ・テクノロジーが解説されています。
(画像をクリックするとリンクに飛べます。)
ボールを手で転がそうとしたときに、最後指先でボールを放るようにして
グッとボールに回転がかかる、そんなイメージを具現化したパター・フェースで、打たれたボールは早い段階から順回転のロールを始めるため、転がりが安定し直進性が増す、という設計だと、動画の中で説明されています。
Nikeの
別のページにスーパースローで撮影した比較動画がありますが、通常のパターに比べて間違いなく順回転が打ってからすぐに始まっている様子が見えます。
↓
「
Forward Roll in Motion」
(比較対照されている、traditional putterの方のロフトはちょっと寝過ぎているような気もしますし、メソッド001とピンパターの比較でも無さそうですが、 ・・・映像を見やすくするためなのでしょうか?
まぁいいでしょう。)
そして今回タイガーが、「オールド・コースのグリーンは遅めで、遅いグリーンはにはいつもてこずって来たから。」という理由ながらついにメソッド001を使うことにした、と発表しました。
しかし、3日間合計99パット(33、31、そして35パット)という予想外に悪い結果が出てしまい、初日2日目はやや雨模様だったものが、週末には雨が上がり強い風によってグリーンが速くなっていったこともあり、最終日には
トーナメント半ばにして元のキャメロン・パターに戻してしまいましたよね。
キャメロンに戻した最終日は、27パット。
必ずしも同条件ではありませんから、パターだけの差ではないと思われますが。
これはナイキにとっては少し遺憾な結果になってしまいました。
しかしこのパター、意外に良い効果を持っているような気がしてなりません。
根拠は私が何度も記事に引用しているデーブ・ペレツのデータにあります。
ゴルフボールにはディンプルがありますよね。
このディンプルの角に(通常は均一平面の)パターフェースが当たり、方向がずれてしまうことが少なくないのだそうです。
硬いカバーのボールほど、ディンプルが大きいほど、この傾向は強くなります。
硬いためにインパクトでの設置面積が減り、ディンプルの角で打ったボールが少し逸れて出て行く可能性があるという訳です。
ひどい例では、約5フィート(1.5m)のパットで狙いから3.84インチ(9.8センチ)も外れてしまうというのですから、ボール(1.68インチ)2個分以上もズレてしまうということで、ディンプル以外はパーフェクトなパットをしていても、カップを外すには十分な影響があるんですよね。
昨今は、樹脂インサートの入ったパターが数多く出ていますが、柔らかいインサート素材のパターの方がこの場合は良い、という結論になるんです。
メソッド・パターのポリメタル・グルーヴ、このディンプル問題に関しては
矯正してくれる方向で動いてくれるような気がします。
(残念ながら、データはありません。)
一方、ロフト角が小さい効果については、デーブ・ペレツの見解から照らし合わせてみますと懐疑的です。
そもそも、昔から言われ信じられている「ビリヤードの上突きの押し球のように最初から順回転で転がるパットは球足が長く直進性も良い」ということ自体、はっきりと否定はしないもののデータから見ると迷信だと言わざるをえない。としていますので。
今まで使い慣れたパターと同じロフトを選んだ方が良いのでは無いでしょうか。(ハッキリとは言い切れませんが。)
タイガー、今後ナイキのパターに切り替える日が来るのでしょうか?