パッティングに関する本のご紹介です。
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今回ご紹介させていただきますこの、「パット・エイミング教本」 には感銘を受けました。
題名どおり、パットのエイミングの方法、ラインの読み方、傾斜の読み方、パットの強弱の読み方、2弾グリーンの読み方、などなどを懇切丁寧に解説している本です。
実は、著者の細貝隆志さんに突然メールを頂きまして、存在を知りました。
こちらに、細貝さんのサイトがあります。↓
(是非サイトの方もご参考になさってみてくださいね。)
まだ販売中の書籍ですので、(売上の助けこそしようとは思えど) 中身を詳しくご紹介して売上の邪魔をしてしまうという訳には行きません。
私に出来る範囲で、どう素晴らしいかをご紹介してみようと思います。(^^;
私が読んで受けました感想は、
ボールがグリーン上を転がるという現象を、非常にシンプルに高校1年生レベルの物理と言いますか、初等力学を用いて考え、パソコンにてシミュレーションをし体系的に捉えることによって、数々の一般のゴルファーにとっては目からウロコの事実を発見し、それを覚えやすく単純な法則としてまとめることがすごく上手な、非常によくかけた本だな、と言うものです。
著者の細貝さんは、いい意味でモデルの単純化がお上手なのですよね。
2段グリーンの読み方の解説などはそれは見事なものです。
(非常に長いゴルフ歴をお持ちの方で、ボール・マーカーが赤い毛糸だった頃のお話や、グリーン上では一人がホールアウトするまでパットする連続パット・ルール時代のお話なども、こぼれ話として掲載されています。 ♡)
目からウロコというのは、こういった↓記述の数々です。
例えば、5mのフックラインのパットでカップの50cm外を狙いポイントに打ったパットが、惜しくもカップに届かず外れます。
「惜しかったな、もう少しだけ強ければ入っていた。」
本当でしょうか?
強く打ったパットは物理的に解析すれば、その分だけ大きな弧を描き、山側に外れます。
つまり、結局このパットは狙いポイントがズレていたのであり、いずれにしても入らなかったということです。
まぁ、力学的に考えれば、当然至極の当たり前です。
細貝さんのグリーンの読み方は、以前
サンディエガンさんにご紹介いただきました、
Aim Point社のAim Chartに通じる部分も多いです。
こちらは大型コンピュータを用いた計算で、ゴルフ・チャンネルで放送されるトーナメントのパットの転がるラインをスクリーンに出したりしている会社ですが、個々人がグリーンで活用するためのツールとしては、グリーン面を傾いた均一平面と仮定した時の狙うべきポイントをチャートで示したツール、
Aim Chart を販売しています。
細貝さんは、ドラスティックに
「グリーンを読むのは最大傾斜線からのみで十分です。 ボールの後ろからやカップの後ろに回って読む必要など全く無いのです。」 と言い切ってしまいますが、
Aim Chartも、デーブ・ペレツも、カップから見て一番低いところからグリーンを読むという点においての見解は共通しています。
もっと言いますと、細貝さんは、グリーンのカップ周りが傾いた平面だと近似すれば、カップから同じ距離のグリーンのどの位置から打つ場合も狙うべきポイントは1点に集約され、これを「焦点」と呼ぶとか、非常に面白い真実を本の中でズバッと解説なさっているんです。
もうひとつ、デーブ・ペルツとも共通しておりますのが、パッティングのラインは基本的に1本だけで考えれば十分である、という点です。
私のブログを見てくださっている方々にはお馴染みですが、一番カップインの確率の高い「オプティマム・スピード」で打つときのラインはひとつだけです。
(オプティマム・スピードについては、こちらの記事をご参照下さい。)
細貝さんの本には、芝目による影響の補正計算方法も詳細に解説されています。
まだ高麗グリーンの少なくない日本のゴルフ場事情からすれば、これは市場から来る必要条項だろうと思いますね。
また、米国のコースに比べ、とてつもないポテトチップ形状のグリーンは比較的少なく、2段グリーンと表現すべき形態のグリーンの方が多いというのも、日本的事情から来るものでしょう。
とにかく、これが一個人によって書かれ、自費出版された本であるということは、驚くべきに値します。
細貝さんはまた、距離感の作り方にも言及なさっています。
具体的には、標準スピード(大体スティンプメータで8.5フィートくらい)の4mの距離を何度も打って身に付け(係数を換算することによって家の絨毯では4mは何mに相当するか計算し、何度も打って習得できるそうです。)、そこからの換算で2m、8m、と言うふうに換算した強さを打ち分けるという方法です。
私の実践いたしますデジタルパットの考え方と、相容れない方法ではありませんですね。
(細貝さんの場合は、長尺パターの完全振り子式ということで、はっきりとストロークをする私のデジタルパットとは換算が同じにはなりませんが。)
私の愛読いたしますデーブ・ペルツの『Putting Bible』が、「パッティングは科学とアート」だ、という記述で象徴されるなら、細貝さんの『パット・エイミング教本』は、「パッティングは初等力学と単純化」だ、という表現ができようかと思いました。
まぁ、ペルツのパッティング・バイブルの方は、元NASAのリサーチャー(エンジニアじゃないんですよ!?(笑))であり、世界のトッププロのコーチを務め、たくさんのコーチや生徒さんを抱えても居る大きな組織として動いている人の本ですから、本来比較したりするべきところにはないのですが、その比較をついしてしまうくらい、素晴らしい本だと思います。
ただし細貝さんの本には、ペルツの述べる、カップ周りのドーナツ現象や、風やボールの転がりに与える影響や、ディンプルの角の影響、そしてなによりも、subconsciousのなせる構えやストロークに出てくる影響、などの考察は一切出てきません。
本当に単純に、力学的にはこうあるべきだ、というパソコンのシミュレーションをベースに、理論的に積み重ねられた考察によって、正しいグリーンの読み方を丁寧に易しく解説した細貝さんの本、初等力学を理解なさる方はもちろん、高校生時代に物理が苦手だった方にもお奨めです。
とてもお買い得な本だと思います。(^^)
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追記します。(10/28/2010)
hiroさんという方が、ほぼ時を同じくしてこの本の紹介を日記にお書きになったそうで、コメント↓をいただきました。 (クリック ↑)
hiroさんの感想も、合わせてご参照下さい。m(__)m
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さて、補足的な内容ですので続きを読むの方に致しますが、細貝さんの本には巻末に近い方に、
SFSS(ストレス・フリー・サイド・サドル)打法というパッティング法が紹介されています。
(画像は細貝さんのサイトからのフィードで、クリックでリンクしてます。)
これは、細貝さんご自身がパット・イップスにかかってしまい(パットの上手な方に起こりがちですね。)、サイド・サドルに挑戦してイップスを克服なさった中で、数々の利点を見出されたので、これを推奨することになったそうなのですが、ご本人もこれはあくまでもオマケのような章であって、本筋とは別です、ということでお話をいただきました。
そこで私は感じましたのですが、デーブ・ペルツの言うsubconsciousの影響による構えのズレ、およびストロークのズレは、カップに正対するサイド・サドル打法の場合には出にくい現象ですよね。
図らずも、一般的な錯覚を含んでいるラインの読みに対して、物理計算による本来正しいラインに狙って打っていく場合に陥りがちなsubconsciousの影響の誤差を消してしまう作用がありますから、デーブ・ペルツが指摘したような人間が自然に感知するズレを感じなくても済むわけです。
これが、一個人である細貝さんが、この本に書かれたエイミングの本質を、錯覚せず/間違わずに解析できる大きな要因になったであろうことが、ペルツの本を熟読している私にとっては想像に難くありませんでした。
ちなみにですがペルツ自体は、書かれているドリルひとつをとっても、「これを2万パットもこなせば身についてきます。(1日100パットで200日、7ヶ月もすればこなせるからたいした数ではありませんよ。)」と、にべも無く述べる人ですので、同じように「グリーン上のボールの挙動は物理法則に則っている」と考えていても、アプローチの仕方は全然違います。
トッププロや、プロ予備軍のアマチュアを相手にしているのですから、彼にとっては当たり前のアプローチなんですよね。
今回の本、非常に面白く拝読できました。
わざわざ日本のインターネット販売で購入し、実家から送ってもらっただけの価値はありました。
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