8/31/2022

「ピンフラッグは99.9%抜いた方が良い」という記事

5年ちょっとぶりに San Clemente Municipal Golf Courseをラウンドしてきました。


市営のコースですがいつもコンディションもなかなか良くて、そして特筆なのがグリーンです。本当に読むのが難しいよく切れるグリーンです。

メジャーの行われる名門 Torrey Pines (こちらもパブリックコースです)とロケーションも遠くなく、海に面した傾斜地という立地条件も近く、オリジナルの設計家も同じで、グリーンとフェアウエーに使われている芝の種類も同じ、ということで、とても楽しくラウンドできるコースです。(こちらの記事はその観点で書いています。→「トーリー・パインズ (Torrey Pines) の攻略法?!」)

記事中の写真ですが、
このグリーンとか、それほど切れそうに見えませんでしょう?
 
しかしこのグリーンも、画面右手に向かってシャシャーっとボールが流れます。
左じゃないです、右です。

もう本当に、ラインによってはボールが坂を高い方へ転がって登って行ってるんじゃないかと錯覚します。
すごく厄介で、グリーン自体はそう速くなくて普通のスピードかむしろやや遅いぐらいの日でも、とにかく海に向かってだけはツッーっと。傾斜も向かっていると見たこと無いくらい速くてグリーンを出ちゃいます。

...と、こんなことを書いています。
(今回もこのホールで 3パットしました。)

今回のラウンドからの写真は 9番ホール、165y パー3のグリーンです。
強めのアゲンストの風が15マイル程度吹いていましたので、4番ユーティリティーで打ったところフック目に入ってしまい、グリーンの右手前のピンに対して大きく逸れたミスショットを打ちまして、乗ったのがグリーンの左奥。


歩測してみたら、73フィート(約22.4m)もありました。(歩測で32歩です。)
このパットも写真では軽く登っているように見えるかもしれませんのですが、下りのパットです。海に向かって速いのです。実のところ結構な下りです。
このパットは32歩ありましたが、21歩のストロークで打っていきました。

途中から尾根を越えて左に曲がっていきますが、写真でいう左斜め上方向に向かってグリーン全体が流れていて、海の方に向かって切れるのです。
上手く換算して打ったと思いましたが、最後の傾斜でススーッとカップ手前で加速して2歩半を残しました。幸い2パット目は軽い登りになりましたので、運よく 2パットで収めることができました。

この日のスコアは、40 37 = 77 (36) でした。
すごくショットは安定していたと思うのですけれども、とにかくグリーンが硬くて止まらない、そして手前でバウンスしたボールは強い芝で止められて、グリーンのちょっと外にボールが止まるケースが多発しまして、このためロングパットの嵐で12歩以上の長いのが10ホール、内 18歩以上が5回もありました。
ここのグリーン周りの夏KIKUYU芝は非常に厄介ですので、テキサスウエッジをなんと10回も使いました。(実は個人的な集計でパット数に入れています。)


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さて、題記の件、こちらの記事になります。

The science behind why the flagstick should be pulled 99.9 percent of the time


題名には、『旗竿は抜け!:  99.9%の場合において旗竿は引き抜くべき科学的理由』と書かれていますが、これは多分にGolf Digestの記者さんによるミスリードだと思います。



元になっている研究は、 California Polytechnic State University の Tom Mase教授というメカニカルエンジニアリングの先生の実験に基づいた分析結果です。 記事を読んでみますと、「ピンフラッグを立てておいてパットした方が良いケースは、0.1%しかないので、残りの99.9%は抜いておいた方が良い」っていう解釈の数字ですが、Tom Mase教授の実験とは関係なくものすごく乱暴に記者によってひねりだされていました。  

Tom Mase教授の実験は、2フィート半(約76㎝)からボールを転がして、ものすごく正確なプレイヤーがパットしたとしてブレを標準偏差で考えた場合に、ピンに当たった中で真っすぐ跳ね返るくらいにピンの中心に当たるのが27.6%であると。 それ以外の72.4%はピンには当たるけど斜めか横に跳ねることになります。  
それで、カップを通り越して2.5フィート、4.5フィート過ぎるスピードまではピンに当たる軌道のパットは100%カップインします。
カップを9フィート通り越すスピードの時 (注*: 3m近くもカップをオーバーする強さです。)に、27.6%だけ、ピンフラッグを立てておいた方が有利なケースがある。

...とかいう実験データでした。

実験には旗竿の種類を色々変えて、実験した数字が書かれていました。


で、ここからGolf Digestの記者がいきなりこう来ます。↓  

2018年のPGAツアーのデータによると、25フィート以上からのワンパットは5.48%で、そのうちの約1/4ちょっと(上記の27.6%のことですね)ということでだいたい1.37%がピンに真っ直ぐ当たる。そしてここでPGAツアーのShotLinkから10フィートかそれ以上がセカンドパットに残ったのは 1%以下でした。PGAプレイヤーが 25フィート以下からパットして10フィート以上残すミスパットをすることはほとんどありません。
このモデル計算においてピンフラッグに当たって得をする確率は、1.37% x 1% 未満で、約 0.1%しかないのです。

...この記者さん、論法がめちゃくちゃです。(笑)

ピンに当たった時の挙動とか全然関係なくなっちゃってますし。
そりゃ25フィート(約7.6m)からパットして10フィート(約3.1m)もオーバーするケースはツアープロにはほとんどないでしょうと思いますよ。その数字はピン抜いた方が良いかどうかとは関係ないじゃん? 

 Tom Mase教授の実験には、ピンの芯とはズレて当たった場合にはかえってカップインしないケースが出てくるよっていう数字が出ています。そっちの数字で検討して%を計算して記事を書かないと、全然意味ないと思います。 

そもそも25フィート以上のパットで、ピンフラッグに当たる(ような正確なパットになる)可能性がPGAツアーでさえ 5.48%より小さいってことですからね。「そもそもピンが立っていようが立っていまいが、99%影響ない」っていうのは納得のいく数字ですが、抜いた方が良いっていう意味とは違うと思います。


でも、ピンに当たるケースはありますから、Tom Mase教授のこういう実験の方自体は踏まえておくべきと思います。


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当ブログでも過去に 2回ほどピンについて取り上げています。
 



一つ目の方は、Dave Palz先生の検証で、チッピングの時にピンを立てておいた方が入る確率が高いケースがほとんどなので抜かずにおいた方が良い、っていう記事です。(例外はピンが向こう向きに少し傾いているときで、ピンの芯を少し外れて当たった時です。)
この時はまだ、2019年のルール改正前ですので、パッティング時には抜かないといけませんでした。

実験はTrue Rollerという器具を使って正確にボールを転がして行われていまして、平坦で 3,、6、9フィート通りすぎる 3通りの強さでピンに当てる転がりを何千回も繰り返してデータが取られています。


その後、2つ目の記事にありますように、ルール改正になって、パットもピンを立てたまま打てるようになった後、抜いた方が有利か抜かない方が有利か巷で議論になった時に、上記のPelz先生の実験がMyGolfSpy.comによって掘り起こされて、再検証されました。

その頃は、ディシャンボウとかアダムスコットが、「俺はピン立てたままパットする」って宣言したりして、ピン立てておいた方が有利だっていう論調が主流になっていたところに、フランスコ・モリナリのお兄さんが「ピン抜いた方が入る確率高いよ」っていう実験結果を出してちょっと待ってよ?ってなった時に書いたのが、2つ目のリンクのブログ記事です。

みなさん見落としてるかもしれないんですけどね、Pelz先生の検証実験はグリーン上で行ってはいますが、チップショットが転がってきてピンに当たるときの想定でして、パッティングを想定していないんです。
ですから、距離がベタピンの 3フィートオーバー、入れ頃外し頃の 6フィートオーバー、ちょっと打ち過ぎだけどピンに助けられるかも?って強さの 9フィートオーバーの 3種類で実験しているわけです。

ツアープロがパッティングするとき、9フィートもオーバーすることはまずほとんどないですね。(でも我々にはありますが。全然グリーンが読めていないときありますからね。)
その意味では、パッティングの時にピンを抜こうが抜くまいがほぼ影響ないんです。

モリナリのお兄さんの実験でも、ボールが穴に落ちるんじゃなくカップの向こう側の壁に当たってポッコン跳ねる強さの時にだけピンが助けてくれるケースがあったけど、もう少し弱いボールがカップの向こう側の壁に当たるくらいの強さの時にはピンがあった方が弾いてカップインしなかったケースが多かった、っていうデータになってます。
けっこう強めに打った時に影響してますね。

オプティマム・スピードでパッティングした強さだったら、ピンは全く関係なく全部入ります。


そもそも、パッティングだったとしても 25フィート(7.6m)も離れている位置からピンに当てるのはなかなか至難の業ですからね。

それなのに、チッピングの時にピンに当たることを想定して、その時のボールが入る入らないの挙動と確率を調べるために何千球もTrue Rollerで転がして検証していたDave Palz先生は、やっぱり只者ではないです。 さすが。


8/24/2022

鎌倉パブリック ゴルフ場の 10番ホールでティーショットの刻み方を考える

以前ご紹介しております、Oak Quarry Golf Course の、ここは16番ホールです。


Oak Quarry Golf Club
http://www.oakquarry.com/

画像をクリックでコースサイトにリンクしてます。

すごいでしょ、このコース。
とてもゴルフ場の風景に見えません。
当時は、シグニチャー・ホールの14番と書いていますが、今は16番になりました。
以前の17番が1番ホールになって、18番が2番、1番は3番、と番号が 2ホールづつズレました。

開場前の本来のデザインに戻したらしいのですが、開場時に何故ズラしたのか不明なほど、今のほうが自然な流れのラウンドに沿ったデザインです。

せっかくですので私のしょぼいショット動画も。青ティーからは、195yのパー3です。



脳は谷底でもいいからっていう意気込みで、なくなっても惜しくない古めのボールに取り替えてまでして積極的に打つつもりでやっているのに、subconsciousが安全目な方向に打ち出してしまいます。(ボディーアクションはドローで攻めたい気持ちが出た動きをしているのに、まっすぐ右目。なんで?笑)

本当にこのコース好きなのですが、COVID-19下のゴルフブームでグリーンフィーが劇的に高騰してしまい、やや足が遠のいていまして、久しぶりでした。

横からパノラマビューで撮った写真

グリーン右に外しまして、戻って右のバンカーに転がり込み、バンカーショットを私にしては上手く打って2.5歩につけましたが惜しくもパットを外してボギーでした。この日は珍しく出だし4ホール連続でFWバンカーにつかまったりもありつつの 79でした。

リンクしました2008年のコースのラウンド記事に写真がありますが、このブログのタイトル画像はこのコースの 6番ホールの左サイドの崖の上の岩の上です。(いまは崩れてしまってありません。)


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刻むティーショットで連想して思い出したホールが題記の鎌倉パブリックの10番ホールでした。

(もう10年前になっちゃってるのが自分でも驚きですが) このコースは私自身のゴルフの状態が比較的好調だった2012年にラウンドをしています。


ラガーマンで恐ろしく飛ぶゴルフ友達に予約して連れて行ってもらい、道具も貸してもらったのですが、実はしばしば泊めてもらったりお世話になっている妻の実家から車で5分の近さだったりします。



距離は長くはありませんが、全ホールが傾斜していて戦略性が高くて面白いコースだと思いました。

Google Mapでみますとずいぶんホールが多いような感じがしますが、それもそのはず鎌倉カントリークラブと隣り合わせになっているんですよね。お友達の、ゴルフ自問自答2PING芸人さんのホームコースがそちらのメンバーシップの方のコースだったりします。地図で右側の方の18ホールになります。

鎌倉カントリーが東斜面、鎌倉パブリックが西斜面、って背中合わせのようになっていて傾斜が逆方向になっているのが面白いです。

余談ですが、この地図の中に家まで収まってたりします。


(ちなみに4丁目-2-8はなんで星が付いてるのかよく分かりません。スマホでスクリーンショットしたとき気が付きませんでした。高野台(バス)にも星がありますが全く記憶にありません。)


それはさておき、その10番ホールを。

こちらの、コースのウエブサイトのコース紹介のページに写真とコース図があります。

(10番ホールをリンクしましたが、なぜか1番ホールの表示になります。10番ホールのボタンをタップしてください。)


私がプレーしたときは、左のメイン・グリーンでした。(右のサブグリーンだと少しだけ距離が短いですがかえって難しいホールになります。)

全長が343yで打ち下ろしていますから、短いパー4です。
ただし、漫然とドライバーで打ってしまいますと高確率でトラブルになります。
ファウエーの真ん中に木が立っていまして、これがティーから 270-280yぐらい。
左サイドのフェアウエー・バンカーがティーからだいたい 240y-260yぐらいのところにあります。
まともにドライバーを打ってしまいますと、ホール案内の写真に写っていますけっこう大きく枝が張り出したフェアウエー上の一本木でスタイミーになってしまいます。


Goolge Mapの上空写真をスクリーンショットしました。


コース図からでは分からない、右隣のホールとのセパレーションの感じとか、左サイドのバンカーより手前のさらに左側の池か何かになっている行ってはいけない、そして木も厚く生えているところなんかがよく見えます。

このホールはトータル 343yしかなくてさらに打ち下ろしていますから、ティーショットは刻んで行っていくホールでしょう。
(ドライバーを330y打てる人はもしかしたら違った攻め方があるかも知れません。)


Goole Mapの図に描き入れてみました。


フェアウエー左サイドのバンカーの位置が実はグリーンへ向かうベストポジションになりますが、得てしてベストポジションの位置にトラップとしてFWバンカーが設置されるんですよね。

ですので、その左サイドのバンカーへ近づきつつ届かないクラブでティーショットを打って、地図中の白く囲んだ辺りに200yぐらいを打っていくのが良いかと思います。下っていますから、その分を差っ引いた上で200yか最大でも210yくらい。平地で180-190yぐらい打つクラブで打っていく感じでしょうか。

ここ、フェアウエーがやや左に傾いていますし、左側の木はバンカー手前が少し張り出していて厚そうですから、白丸を狙ってちょっと左へ引っ張るとトラブってしまいそうです。

もっと短い距離でレイアップすることを考えてみたのが、青い線で囲んだ範囲です。
2打目に160y-190yを残していても、コース写真の木の高さなら上を越えて打っていけそうです。
木に近づけば近づくほど、対処が難しくなりますから。
普段170y打つクラブでフェアウエーにティーショットをしてやや左目に10yくらい転がってセカンドは残り160-165y、みたいなイメージです。

当日の私は、確か(当時のマイバッグには入っていなかった借り物の) 5番ウッドでティーショットしまして、白く囲んだ辺りに上手く打てたのですがそこからのセカンドショットを木の左肩の上を行こうとして、グリーン左手前に外しました。なんとか 2歩に寄せて運良くパーセーブしたみたいですが、攻略が難しいホールだと思います。


今にして思えば、黄色い線のように160-180yキャリーぐらいのその時に自分が打ちやすいクラブを選択して軽くドロー気味に打っていって、フェアウエー自体の左への傾斜を意識してFW左サイドに行くように願いつつ打っていくのが良いように思います。

パー3をイメージしてティーショットする、って思っていますが、実際には落下点がグリーンではありませんし、ガードバンカー超えとかではありませんから全然気が楽です。
思っているのは、方向だけ決めるのではなくて具体的にボールをどこに運ぶかを明確にイメージしてティーショットしたい、っていうところです。
どのクラブを使ってティーショットを打っていくかが自ずと決まってきます。

風を読んだり、高低差の分を差し引き換算して打つクラブを決めます。
ボールを持っていきたい場所があるからです。

ここは短いしDR要らないから適当に短いクラブで方向出して打っていこう、っていう刻みはあまり効果的でないと思います。
フックでもゴロでも良いから、ボールをセカンドを打ちたい場所に運ぶ意識が必要と思っています。


しかしこのホール、右のサブグリーンの方が遥かに攻め方が難しいですね。
フェアウエーが左に傾いていますから。木の右側の空間も幅が狭いし。
どう攻めたら良いのか分からなくなってしまいますね。



8/19/2022

プル角についてと、その他日本ゴルフ界に独特の表現

写真が斜めっていますが、ゴルフ場のカート道の脇で撮った写真です。


これは確かFullerton GCの12番ホール、パー5のグリーンに近い方のロケーションです。
実際こういう穴はいろんなコースのありとあらゆるところ、場合によってはフェアウエーにもあいていまして。

ゴルフルール上は、「穴掘り動物の穴」っていう分類がされるのですが、動物もいろいろです。

Gopher (堀ねずみ)が代表的ですが、他にもウサギやヘビ、モグラ、オポッサム、ラクーン、イタチ、キツネなど、大きさも様々です。
ゴルフボールくらいなら転がり込んじゃう大きさのものが多いので、ボールをロストしないように気を付けないと、です。気を付けようがないとも言いますが。

ちなみにこの穴はリスの巣です。
誰の穴か分からないときも多いのですが、今回は目撃しました。(笑)


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このブログにいくつかあるんですが、やけにウエブ検索にかかるらしい古い記事があります。

そのうちの一つがこちら。


プル角の概念自体は、一部のクラフトの方々を除いてクラブメーカー側ではすでに廃れてしまいまして、クラブ設計には使われていません。ほぼ死語になっていますので、耳にした方が「なんだろう?」って思って検索をしますと、上記の記事が候補に挙がってくるのかな、と想像します。

アイアンを構えた時に、シャフトが左から入って見えるのですが、この時の角度を「プル角」と呼んでいました。

プル角の付いたアイアン


シャフトの直線から、白く塗られている一番下のスコアラインの直線にネックのところで逆「く」の字に曲がって見えまして、ネック付近に懐があって包み込むイメージがあります。
ただ、このプル角が付いていると、左へ引っ掛けやすいんですね。
ショートアイアンほどプル角が強いので、左に引っかかりやすい傾向があります。
それで、プロの中にはショートアイアンやウエッジを打つ時にオープンスタンスを取るプレイヤーも少なくありません。

...的なことが 30-40年前の当時には語られていたりしました。


でもこれは多分に写真の取り方も影響していまして、

真っ直ぐにセット

こういう風にほぼ真っ直ぐに撮しても写真上はクラブフェースの見た目の形はほぼ変わって見えませんが、懐(ふところ)部分の見え方の雰囲気は少し変わって見えます。

実際にショットを打つ時には、やや左からシャフトが入って見える角度で構えることが多いです。

ちょっとハンドレイトの位置

こうやって撮りますと、シャンクが出ることはあっても左への引っ掛けは出なさそうなクラブに見えるかも?


1978年頃に、それまで100円ライターで知られていたマルマンが 『SPSS理論』っていうのを引っ提げてゴルフ界に進出しまして、さらに 1989年にアイアンのソールに4方向に丸みを帯びた『マルマンソール』っていうのを出して大ヒットさせたんですが、それ以前のアイアンのソールは、大体真っ直ぐフラットなソールが多かったんですよね。

ですから、アイアンのソールを地面に構えた時に、座りの良い位置っていうのが当時のクラブにはありました。
そのアイアンソールの「座り」を基準にプル角を測って、調整を入れたりしていたんです。

ネックを曲げて調整しますので、どうしてもロフト角やライ角に影響が出ます。
ただこの当時は、ロフト角やライ角のそもそもの販売時点での精度が、一般売りの製品ではあまり良いとは言えない出来で売られていました。

ほとんどのアイアンクラブが鍛造(フォージド)の軟鉄製でしたから、出来上がりの精度は +/-2~3°は当たり前のようにズレていましたが、一方で後からの調整は利きました。
ですからチェックして調整を入れれば、むしろ良いチューンナップになっていましたし、その辺りのきめの細かさが日本的で良かったと思います。


一方、ウエッジの場合は、当時からソール形状は様々なものがありました。
ソールの座りを基準にプル角を測り、懐の見え具合をゴルファーの感性に合わせ、打ちやすいウエッジに仕上げる、というクラフトマンの仕事は多くのゴルファーの助けになっていたと思います。


当時のアイアンやウエッジもマグレガーのやつをいまだに持ってはいますが、今回の写真にはちょっと前の2010年のグルーブ溝規制以前のウエッジを持ってきました。

Callawayの Jaws Wedge 54°

バンス角はハイバンスの16°が付いていまして、ソールは C形状に削られています。
フェースを開いて使いやすいように設計された、ものすごく良くスピンのかかるウエッジでした。

同じように構えてみますと、

通常のややハンドファーストの構え

バンカーショットなどややハンドレートの見た目


このウエッジの、わりと硬い地面でのソールの座りが良い位置を確認してみますと、こんな風になります。↓

ソールの座りが良い位置にクラブを置いた時

自然と 20°くらいフェースを開いて使うように設計されて作られているウエッジだな、っていう感じがします。

こうやって構えた時のボールの打点位置でのフェースの向き(ティーの指している方向)と、フェース上のスコアライン(溝)に垂直な向きの方向が、クラブを構えた角度からでは必ずしも一致して見えない、っていうことは意識に置いておいた方が良いかもなー、と思います。


また、アイアンやウエッジには グースネック(フェースプログレッションが大きくつけてある)にデザインされているものも多くあります。

グースネックになっていますと、クラブの重心角が大きくなるように作れるため、つかまりが良くなる性能を持たせることができます。またフェースがシャフトにやや遅れてボールに入るため、ダウンブローの強い打ち方の人にはグースネックが合うとされています。

グースネックのアイアンは、わずかではありますがウッド類のクラブでいうところのフックフェースになっているクラブとして使うことも可能です。
グリップの入れ方を少し変えると効果的です。



ところで、プル角について英語版の Goole検索を使いまして検索してみます。

"pull angle", golf  
 あるいは
"hook face", irons, golf  

などのキーワードで検索をかけてみますと、Golf CrushというゲームのPull Angleっていうショットのファクターがあるらしいのですが、それしか出てきません。
英語圏のゴルフ用語には、アイアンの「Pull Angle」は実のところ 存在していません。

元々、日本にしかなかった概念のようです。


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他にも日本に独特のゴルフ用語の表現があります。

例えばこちら ↓

「ボディターン」

この表現も米国では耳にしません。  

こちらも試しに英語版の Goole検索を使いまして、検索してみます。

"body turn", golf swing

この検索ワードで出てくるのは...、


Tabata Tornado Stick Swing Trainer」by Amazon.co.jp 

Marcus Edblad Powergolf - Facebook」by Marcus Edblad 

こんなところです。

最初のリンクは、Tom Fieldingsっていう日本でゴルフレッスンをしているオーストラリアのプロのウエブサイトです。日本で教えていてボディターンっていう表現を日本で学んだのでしょう。

2つ目と3つ目のリンクは、トレーニング器具です。両方ともAmazon.comではなくて、Amazon.co.jpのサイトです。リンク先は英語表記ですが、両方とも日本の商品です。

4つ目のリンクは、スウェーデンのプロのFaceBookページです。
私はスウェーデン語は読めませんが、英語でアップロードされている動画では、「真っ直ぐに打とうとするとスライスしていってしまうが、インサイドアウトに振っていくと不思議なことに真っ直ぐに打てる。」的な説明がされていました。ボディターンという言葉がどのポストで使われているのかよく分かりませんでした。

こちらのケースでも、英語圏のゴルフ用語には、スイングの「Body Turn」は存在していないと言って良いかと思います。
「体幹を回転」させる意識は「ない」のではないでしょうか?


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もうひとつ、これは英語で検索できませんが「切り返し」。
このニュアンスの英語は使われていません。

「switch back」とかゴルフスイングでは使いませんし、強いていうなら「turn」という表現になりましょうか。

テークバックが「take away」、トップは「top (of the swing)」で、「down swing」、「impact」、「follow through」っていう風に、ゴルフスイングを分解して表現する、解説する、っていうことは米国でも行われています。

しかしながら、「take away」と「down swing」の間には、「top」がありますが、「切り返し」っていうものが語られることは私の知る限りまず全然ないのです。これも日本に独特のゴルフ用語の一例かな、って思います。