7/17/2009

パッティングの距離感(続き2)


前々記事「パッティングの距離感」前記事「パッティングの距離感(続き1)」の続きです。


お話は大きく変わりますが、数ヶ月前のゴルフマガジンで、

Tiger's 5 Secret Keys to Score Lowという、非常に興味深い記事がありました。
「良いスコアを出すための、タイガー5つの秘密」とでも意訳いたしましょうか。

2002年から2008年のUPオープンまでのタイガーのスタッツをすべて分析し、どこが優れていてあれほど強いタイガーになるのか分析した記事です。

この記事についてはまた別の機会にいろいろ考察してみようと思いますが、かいつまみますと、例えば2008年のスタッツで言えば、ドライビング・ディスタンスが1位な訳ではなく(27位)、ドライビング・アキュラシーも08年で言えば82位、ラウンド平均パット数は32位、GIRでのパット数は28位、パーオン率(GIR)は50位、サンド・セーブ84位、スクランブルは8位と、どれも1位ではありません。それなのになんでいつも強いのか?タイガーの強い秘密はなんだ?という解析をした記事です。
(ちなみにGIRは02、06、07年には1位でしたので誤解なきようお願いします。)


上記記事では、ラフから打ったときのパーオン率が非常に高いことや、いかに入れやすいラインのパットを残すようにアプローチしているか、100y-125yの距離からアプローチショットを打ったときのカップまでの距離の平均がPGAのツアープロのアベレージに比べて4.5フィート(約1m37cm)ほど近いこと、決めたパットの距離の平均がツアープロのアベレージに比べて10.5インチ(約25.7cm)ほど長いこと、そしてパー5でのスコアがツアープロのアベレージに比べて0.25ストローク(つまりラウンド平均で1打!)少ないこと、などが説明されていますが、今日はそれは置いときます。


別な記事かTVで見たのですが、他のツアープレイヤーにタイガーの一番の強みを聞いてみますと、多くのツアープロが「clutch putting」を挙げます。

しかし、パッティング数が1位だったことは一度もありません。
GIRでのパット数は、07年に4位、05年に5位、04年に2位と強いところも見せていますが、これがタイガーのパットのずば抜けたすごさを見せているスタッツとも言いがたいと思います。

「clutch putting」を示すデータとしては、ツアーアベレージに対して平均して10.5インチ(約25.7cm)長いパットを決めるというアドバンテージがある、と言うデータが物語ってはいますけれどね。


ここで、取り上げたいのは、タイガーのショートパットの強さです。
3フィート(約91.5cm)のパットが2002-2008年の間に、2,700回あり、そのうちのなんと2,691回を沈めているのです。
実に99.6%以上の確率です。

オーガスタでも、10フィート(約3m5cm)を制する者が勝利すると言われていますが、(ソースがどこだったか失念しまして恐縮ですが)10フィート以下のパットのスタッツに関して言えば、タイガーはツアーのアベレージに対して72ホールにして6.6ストロークのアドバンテージがある、ということです。

これは実に18ホールにして1.65ストロークの差です。
2008年のタイガーはラウンド数が満たないので平均ストロークの順位に入っていませんが、ご存知のとおりこのカテゴリーのスタッツに関してはずーっと1位で、2008年も68.90ストロークで実は隠れ一位なのです。(隠れてないか。(笑))
これに1.65ストロークを足しますと、70.55ストロークとなって、とたんに59位タイまで落ちてしまいます。

つまり、10フィート(約3m5cm)以下のパットの正確さが、タイガーの強さの一端を強く支えていることには間違いありません。


ここに、デープ・ペルツのグループが膨大なデータベースを基に解析した、コロンビア大学統計科のスタディ(論文)があります。プロのデータです。

A Probability Model for Golf Putting



グラフだけこちらにコピーしてもって来ましたが、
これから見ましても、タイガーの3フィートのパットを決める確率99.6%が、いかにずば抜けているかがうかがい知れます。
(赤でタイガーの3フィートをプロットしたのは私です。)


ここでひとつ前の記事の話に戻るわけなんですが、3m以下のパットの精度を上げると言うことが、いかに大切か、という話になってきます。

まぁ逆に言いますと、多くのプロが練習を重ねているにもかかわらず、タイガーに歯が立たないことのひとつが、なんと3フィート(約91.5cm)以下のパットである、ということですから、達成するのは容易なことではないのだろうと推測が成り立ちます。

しかしながら、何らかの方法で、1m、1.5m、2m、2.5m、3mを打ち分ける技術を確立すれば、アマチュアのパッティングとしてはひとつ上の段階に進めるに違いないと思ったりする今日この頃なのです。

タイガーの、ほとんど無いと言っていいくらいショートしてミスすることの無いパッティングは、決して度胸などではなく、1m、1.5m、2m、2.5m、3m、・・・を打ち分ける技術に裏付けられた確固たる自信の下にストロークされた結果なのだと思うのです。


7/16/2009

パッティングの距離感(続き1)


前記事「パッティングの距離感」の続きです。


では、デジタルパットを使わない人は、具体的にはどうやって距離感を作っているのでしょう?

ここはひとつ、ゴルフのオーソリティーの見解を見てみようと思い、二つのサイトを調べてみました。


まずは、社団法人 日本プロゴルフ協会(PGA Japan)

「パッティングの距離感を養うには」(2007年11月16日)というポストが見つかりました。
ウイークリー・レッスンというコーナーです。

引用します。

パッティングの距離感を養う上で一番簡単な方法は、まず初めに1mを打ち次に2m、そして3mというに、徐々に距離を伸ばしていき距離感をつかんでいく方法がお勧めです。
一般的な距離感をつかむ方法に、例えば10mを打つとすれば5mの2倍を打てばいいという方法がありますが10mを打つという感覚は体の中にはないわけなので、距離を合わせることはできません。また、自分の感性に任せポーンと無意識に打った距離から徐々に距離を縮めていくという方法もありますが、こちらも同じく全て感覚の世界に留まるため、確実ではありません。説明した通り、距離感を養うためには、1m、2m、3mと徐々に打っていくのがいいわけですが、それが難しいという人にはまずは1m、次に3m、更に6mというように、初めは自分の中のメモリを大きいところから始めるのもいいでしょう。それである程度打てるようになったら、1、2、3、4mというように、メモリを細かくしていくと共に、10m以上の距離についても同じように練習をしていくといいでしょう。10m、13m、16mと初めは大きく分けて、次第にその間を詰めていくようにしたらいいと思います。



06年2月17日にも、同じ解説がありました。

「下りラインのパッティングの際、ラインとタッチを出す方法とは」

まず、平坦な状況で1m、1.5m、2m、2.5m、3mという距離を打ち分けられるまで練習をしてください。そして自分の体の中にこれら距離の基準を植えつけてしまいます。いわば体の中にパッティングの物差しを作ってしまうのです。この物差しができてしまえばあとは簡単です。実際の下りのラインに行ったら、実際のカップとは異なる仮想のカップを想定し、1mないし2mといった自分の物差しに合わせてパッティングすればいいのです。

ここで気が付くことのひとつは、なんだかんだ説明して、結局「練習しろ」ってことしか無いじゃん。っていうこと。
まぁ、PGAですから、ハナから練習時間の短い下手くそアマチュアなんぞは相手にしてらん無いかも知れませんので当然と言えば当然です。


で、もうひとつ気が付きましたことが私にとっては目から鱗で、非常に重要だと思いました。



私のデジタルパットの基準では、いわゆる内-内のストロークで7歩(約5m)転がるグリーンが基準になっています。
つまりこれ以下は、内内以下なので、打つときに内-内の半分までストロークバック(テークバック)すれば2.5mくらいが打てると言うアバウトな処理をベースに、目に入る距離とか傾斜とか芝目とかスパインとかの情報を脳にインプットして、パッティングしていました。

3m以下なら余程の傾斜で無い限り、まぁ縦の前後50cmには入るだろうと言う、貪欲さに欠ける処理をしていたのです。
つまり(速くないグリーンであっても)5m以下はデジタルパットの内-内以下の距離、ということで考えていました。
決してショートパットが苦手な方ではありませんが、非常にショートパットに強いと言う自覚もありません。(^^;

逆に言えば、1m、1.5m、2m、2.5m、3mを打ち分ける、という精度の細かい距離のコントロールがあって初めて、3m以下のパットを普通にボコボコしぶとく入れてくるプロのパッティングが成り立っていたのです。
1mのパットであっても、例えば曲がる横のラインであれば、距離感とラインがばっちり合っていなければ簡単にはカップインできません。

すべからく2パットに収める努力を続けていましたので、3m以下を50cm刻みに打ち分ける練習は考えたこともありませんでした。

※この話は、あとでまた、次の記事に登場します。
(くどくてすみません。(^^;)


ノリさんのブログの解説にも、実は3.2m以下の打ち分けは説明されていません。(ノリさんのことですから、ご自身は3.2m以下も打ち分けをなさっている筈と思いますけれど。)



次は、社団法人 日本ゴルフ協会(JGA)を見てみましたが、こちらはルール的なことの解説が主で、技術の解説やレッスンのコーナーはありませんでした。

余談ですが、非常によくまとめられた、これだけは知ってコースへという、小冊子のpdfが置かれてありましたので、記念にリンクしておきます。

これだけは知ってコースへ(JGA編)


次の記事にも続きます。)


***

そしてさらに。

お友達のロボレラさん千成ラウンド その2という記事に、非常に興味深いことが書いてありました。

引用します。


結果が出たから言えるのだが、私の距離感はキャリーの距離感であって総距離の距離感ではないらしい。
それは落とし所までの距離感は持っているが、最初から最後まで転がして止める距離感は持ち合わせていないと言う事だ。
そのため転がる距離や割合はある程度一定と仮定して、キャリーの距離感を考えるようにしたのだ。

このやりかたにした結果、上りと下りの距離感の出し方が理解しやすくなった。
上りの場合はカップに近いところに落とさなければならないし、下りの場合はかなり手前に落とさなければならない。
しかし、カップより1m先まで転がるようにとか、カップの手前1mに止めるようにとかいった距離感の考え方より、キャリーを考えるやり方のほうが私には私には実感しやすかった。
最初の何ホールかは距離感が合わなかった事が多かったが、グリーンの状態がわかってくるとキャリー後のランの距離が読めてくるのでわかりやすい。



これは、イメージとしてはかなり画期的な方法だと思いました。

驚く無かれ、ショートアプローチのお話ではなく、パッティングのお話です。
パターのキャリーをイメージして打っていらっしゃる方、どのくらいいらっしゃるでしょうか?

私はロボレラさんとは逆に、グリーン周りからのチップ&ランや転がしのアプローチ(D-Chop)を、ロングパットのイメージで、ワンバウンド目の落としどころには全くこだわらずに打つことで、距離感が出せるようになりました。
(勝手にD-Chopと名付けて愛用しています。(笑))
このアプローチは、冗談抜きに私にとっての救世主でした。

デジタルパットをアプローチに応用する、ロボレラさんとは逆方向の考え方でではありますが、ある意味では非常によく似ていると思いました。

私はロボレラさんの方法を、3m以下の打ち分けに応用してみようと思っています。

やり方は・・・、これから模索してみます。(x_x;

最近お気に入りのチェイニー・ウッズちゃんの写真



7/15/2009

パッティングの距離感


現時点での私のパットの最重要項目は、距離の打ち分けの精度を上げることです。
ラインにストレートに打ち出すストロークよりもなによりもまず、距離のコントロールを第1に位置付けています。

よく言われていることですが、5mのパットで左右に外れるのは余程の大きく曲がるラインでない限り、+/-50cmには収まるけれども、距離が合わなくて縦に外す範囲は+/-50cmに収まらない場合も多々発生します。
10mのパットでも同様に、左右に+/-1m以内には収まるでしょうけれども、縦に+/-1m以内はそうコンスタントにはできません。


まずは距離のコントロールの精度を上げ、むやみに3パットをしてしまうことを防ぐのが目的です。

3パットは、完全には無くならないでしょう。
グリーンのスピードや傾斜への読み自体が合っていないこともありますし、状況によって(バーディーをどうしても狙いたかったとか)アグレッシブに行った結果、長めに残してしまって3パットすることもあるでしょう。

しかし、ただ単に中長距離のパットを3パットにしてしまうのは、できるだけ避けたいところです。


さらに、比較的大きめに曲がるラインの場合、距離感が出せて初めて狙うラインが決まってきます。
距離のコントロール無くしては、ラインに乗せるストロークも意味なし、と言うことになってきます。


まぁ、そんな能書きは私が書くまでも無いかも知れないんですが、距離のコントロールによって3パットが激減するのにもかかわらず、世の中にパットの距離の具体的なコントロールの仕方を解説したレッスンがあまり存在し無いのも事実。

ざっと検索したところでも、この辺り↓のサイトは具体的に何をやればよいか書かれていて大変参考にはなりますが、本やウエブサイトで見つかるほとんどのアドバイスは、2点に集約されます。

ゴルフテクニックQ&Aパッティング編(東建72ゴルフツアー.net)

教えてあげるね 30 パッティング距離感(960 ゴルフ嫌いのプロゴルファーBlog)

(ちなみに上記2サイトで推奨されています、手で転がして距離感をつかむと言う練習は、ゴルフキャリアが浅い人には効果抜群です。パター自体を何年も使い慣れた人にはあまり効果ないかも知れません。)

・練習と経験で距離感を磨く。本来人間のもつ感性に頼る。
・振り子式のストロークをし、リストでパンチを入れない。

しかし、この2つのアドバイスと限られた練習量で距離がコントロールできるようになるのは、まさに個々人の才能に頼るしかありません。



最近お気に入りのチェイニー・ウッズちゃんの写真


なんとかもっと具体的に実践しやすい良い方法はないものかと思っていたところ、golfreak銀さんのブログに行き当たりました。
ここの、パットのヒント・カテゴリーの記事には、距離をコントロールするデジタルパットの極意が惜しげもなく丁寧に解説されています。

そしてさらに、「決め打ち」によるパットの名手ノリさんのブログには、(golfreak銀さんの方法では少しパンチを入れないと届かない)長い距離にも対応しており、しかも、パターヘッドの動きを視認して幅をもっと正確にコントロールするべく、まるでパターを長尺にしてテンポをゆっくりにすることまで可能にした、恐るべきパットの距離のコントロール方法が、3パット撲滅(大)作戦のカテゴリーの記事 に判りやすく丁寧にまとめられています。

これを学ばない手はありません。
(お二人とも、ありがとうございます!!)

どちらもエッセンスは同じです。

第1に、歩測をして距離を正確に把握すること。
パターヘッドの振り幅の大きさによって距離をコントロールします。

スタンス幅を正確にセットして、足とパターヘッドの位置関係を利用して振り幅を管理します。
いつも同じテンポでストロークできることが成功のカギになります。

どんな距離のパットでも、(同じパターで 1ラウンドする以上は)振り子の腕の長さはいつも同じですから、“テンポ”はいつも同じになります。振り幅には関係ありません。
そうでなければ自然の法則に合いません。

ノリさんの「決め打ち(デジタル)パット」の極意は、“トンボが止まっちゃうぐらいゆったりしたストローク”です。


私は、このデジタルパットの方法に心酔して、自分なりのアレンジを入れながら実践し、パッティングの改善に努めています。(^^)


パットの距離感で苦労なさっているアベレージ・ゴルファーの方々は、是非ご参考になさって下さい。
お二方の方法は、練習量の少ないアマチュア・ゴルファーにとっての福音となること請け合いです。(^^)


これで本来は「おしまい」なのですが、次の記事ではちょっとだけ私なりの解釈で、いろいろと掘り下げてみます。(^^;

私自身、書いてまとめていて、意外な発見がありました・・・

(続く)