コネチカットのtrimetalさんから、大変興味深い商品(パター)を教えていただきましたので(と言っても日本の商品ですが)、私からの考察を加えつつご紹介してみたいと思います。
まずは、大本のHPのリンクはこちらです。
http://www.dmmpdesign.co.jp/
使い方の説明が、詳しく書かれていますので読んでみました。
この商品の核心部分は、この↓目盛りが刻まれているグリップですね。
グリップエンドのところに貫通穴があけてあり、多くのプロがやっているような形でパターを立ててぶら下げて持ったときに、水平が出せるようにしてあります。
そして、30cmのテークバックで打つパットの距離を基準にして、その他の距離をテークバックの大きさで打ち分ける、という仕組みです。
基本的な考え方は、私の実践しているデジタルパットに近いですので、コンセプトは分かりやすかったです。
もうちょっと具体的な使用法も見てみましょう。
この図が仕組みを端的に表していて分かりやすいのですが、まずは30cmのテークバックでボールを打ち、転がった距離を確認します。マークなどを置いて打つ前のボールの位置が分かるようにしておくといいですね。
で、打つ前のボールの位置の真上にこのパターを吊るし、▽マークの位置に打ったボールが重なるように自分が動いてパターと自分との距離(「腕の長さ」とされているのがこの距離ですね。)を調節します。
で、ラウンド中パットを打つ時に、この時に決めた「腕の長さ(ボール上に吊るしたパターと自分(の目)との距離)」をいつも一定に保っておいてボール後方からパターをボールの真上にかざして吊るし、カップを見ます。
その時に、カップが重なる位置のグリップ上の目盛りを読んで、目盛りの表示するcmのテークバックでストロークするとカップまでの距離になる。 というシステムですね。
あらゆるグリーンの速さ、あらゆる傾斜、あらゆる人のストロークの個人差にも対応できるのは、30cmのテークバックで実際に打った距離を基準にキャリブレーションするから、という訳です。
このページの図 ↑ とかを見ますと、ちょっと複雑に感じてしまうのですが、やってみると意外にシンプルですね。
いくつか、問題点も感じます。
このシステムで一番肝心になるのが、「腕の長さ(L1またはL2)」で、これはすなわち“ボール上に吊るしたパターと自分(の目)との距離”な訳ですが、これをラウンド中にずっと一定に保つ術が説明されていません。
これは一定に保つのがけっこう困難な感じがするのですけれど、このパターを使い込んでいくと慣れて出来るようになるのでしょうか?
といいますのも、グリーンのスピードなどの差で毎回ラウンドするたびに違う距離になりますから。
ボールからつま先までの距離で確認して、それをさらにこのパターの目盛りを使って測り、傾斜に負けずに真っ直ぐ立つようにする、とかすれば、一定に保てるかなー、とか思いますが、そうなるともはやパッティングそっちのけの測量になっちゃって実用に向かないような?
まぁ、いつもホームコースで使い、いつも同じ距離で持つようにしている、とかならアリなのかな?
もっと大きな問題は、R&AやUSGAで公認されるかどうか。
ルールブックのグリップに関する項目には明示はされていませんが、グリップに目盛りが入っているとなりますと、当然非公認にされるものと思われます。
HPには、
>現在、ゴルフ規則の適合性についてグリップのみを英国R&Aへ審査を申請しております。
と書かれています。
露骨に目盛りに見えないように、あたかもグリップの柄かのように工夫してはありますが、おそらく通らないでしょう。
テークバックの大きさを、どうやって作るかの説明もされていません。
ノリさんの「決め打ち(デジタルパット)」では、スタンス幅を変えて右足の靴や太腿を基準にコントロールする術がキチンと確立されていますが、このパターで分かるのは、36cmとか、55cmとか80cmとか、数字で分かるだけですからね。
私の経験では、80cmのテークバックを振り子式ストロークで真っ直ぐ引くのは至難の業です。
あとひとつは、どうやって一定のストロークを保つかということ。
振り子式ストロークが推奨されています。
発明者で社長の小祝秀明さんという方は、パットの上手な方だと確信はいたしますが、説明にやや不備があると感じました。
身長と拍数の対照表まで用意して“全くの振り子式パット”を推奨なさっていますが、全くの振り子のような動きをしますと、ボールはよく転がりません。
先日のテークバック相関グラフという記事に書きましたが、本人が限りなく振り子に近くほんの少しの一定の加速度を加えているつもりで打っているパットも、実際にスローで録画してみますと、トップからインパクトにかけてはテークバックの3倍強ものスピードで振っているのです。
でも、振り子式パッティングを推奨するために、わざわざパターが重めに出来ているところには共感いたします。
それと、これは大した問題ではないのですが、長い距離ほど誤差が出やすいパターグリップを使っての測量よりも、ボールからカップまでの距離は歩測した方がずっと正確だ、という点も挙げられます。
Homeのページにある「お客様の声」にも、そういう意見が上がっていますね。
問題点をいくつか挙げてみましたが、よいアイデアであることには間違いないと思いました。(^^)
少なくとも、HPにも書かれているように
>初級者の負担を軽減するために開発
されたものとしては、秀逸で画期的なシステムです。
ただ、商品としてはいささか魅力に欠けるような気がいたします。
ゴルフの初級者向けにしては、システムが少し複雑で取っ付きがよくないこと。
そしてまた、Homeのページにある「お客様の声」に、初・中級者向けの価格を考えて欲しい、というショップからの意見もあがっていますが、初心者向けにしては“物が良い”だけに値の張ってしまうパターの匠、IPTの山田パターと組み合わせてしまったところも、マーケットを見誤っているような気がしてなりません。
でも、私は好きですね、この商品。
できればグリップ単体だけ2,000円ぐらいだったら欲しいかな。(^^;
公認されなければ結局「練習だけ」用なのですから、手持ちのスペアのパターのグリップに銀マジックで目盛り線を自分で入れて、グリップエンドに細いストローでも貼り付けてみてどのくらい有用か実験して試してみますけど。
・・・というのは聞かなかった方向でお願いします。m(__)m (笑)