2/07/2016

PXGアイアン(およびクラブセット) の衝撃


いやー今週のフェニックス・オープン、面白かったですねー。

松山とリッキーのプレイオフで、見事に松山が優勝!
すげー! おめでとう!

(前の記事で候補に挙げていたダニー・リーが4位、J.B.ホームズは6位タイ、フィルは11位タイ、スネデカーは振るわず33位タイでした。で、もちろん松山が優勝。(^^) )

3日目にアテンダンスが20万人を超える新記録を達成。

そして今日のエントリーで取り上げます PXG 勢の活躍も目立ちました。

ライアン・ムーアの11位タイを筆頭に、ザック・ジョンソンが14位タイ、2日目トップで沸かせたジェームズ・ハーンが17位タイと上位争いに顔を出し、チャールズ・ハウエルIIIとビリー・ホーシェルが24位タイ、そしてクリス・カークが37位タイと、全員予選通過しました。


個人的に気になったハイライトはこれです! ↓




水曜日のデモでの、ロボットのLDRIC (エルドリック) のホールインワンです。

一応、Launch Directional Robot Intelligent Circuitry の頭文字ってことにはなってますが、どうみてもタイガーの本名のエルドリックにあやかっているのは間違いありませんね。(^^)

じゃぁ、前置きはこのぐらいで。


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先日のファーマーズの観戦中、9番ホールをプレー中だった2014 FedEx Cup チャンピオンのビリー・ホーシェルが我々のすぐ側に来ました時に、彼のキャディーバッグにPXGのロゴマークが入っていまして。
その時に、「PXGが今すごい勢いなんだ。」ってお友達のSamさんに教えていただきました。

画像をリンクでPXG.comのサイトにリンクしています。


PXG (Persons Xtreme Golf) というのはウエブドメイン・サービスのGoDaddy.comの創始者でビリオネアーのボブ・パーソンズ氏が2014年末に立ち上げたゴルフ道具のブランドで、2015年シーズンの4月以降に次々とPGAのツアープロが契約して旋風を巻き起こしているってことでした。

最初にツアーで使い始めたのがライアン・ムーアで、その後ザック・ジョンソンとか、ビリー・ホーシェル他3名が加わって6名ほどになったようです。
シニアでもロッコ・メディエイトが、そしてLPGAでもクリスティー・カー、アリソン・リー、アンナ・ローソンなど6名が契約しています。

これからもどんどん増えそうな感じがしますね!

そもそもは、ボブ・パーソンズ氏がゴルフにはまり毎年250万ドルほども用具の買い替え・改良に使いまくっていたので、それなら自分の好きなクラブのブランドを立ち上げてしまえ、ってことだったようですね。

PXGを立ち上げる直前は350万ドルは使ったんじゃないか?っておっしゃってます。

それで、元PINGの開発・設計に携わっていた大物二人を雇い(というかむしろ引き抜き)、まずはアイアンを作ってみようかと。
「ブレード型(いわゆる日本で言うマッスルバックのことです)で、かっこ良く見えて、でもすごくforgiving (ミスヒットに許容度が高く)で打ちやすい、そして打った感触が抜群にいいアイアンを作ってもらいたい。」ってところから始まったのだそうです。

引き受けた二人もさすがですねー。  「(要望は)それだけですか?」との返事だったそう。


画像をリンクでPXG.comのサイトにリンクしています。


すでに7つの特許を取得、他に40の特許を申請中とのことです。

引きぬかれた一人、ブラッド・シュワイガート氏はゴルフクラブ関連の特許をその以前に150も取得しているそうでして、その人が『コストはいくら掛かってもいいからとにかく最高のものを作ってくれ。』と頼まれたわけですから、頷けるお話です。

画像をリンクでPXG.comのサイトにリンクしています。


一番目を引くのは、すでにそれがこのブランドの象徴にもなっているバックフェースに並んでいるウエイトですね。

かつてベルンハルト・ランガーなどがマグレガーのアイアンやウエッジでやっていた真鍮のプラグを埋め込んだ改造とか、私も愛用しておりましたアダムズのイデアMB2 アイアンにも通じる、丸くドリルしてそこにウエイトを埋め込んだようなデザインです。

このPXGの場合は、比重が非常に重いタングステン製のネジと比重が軽いチタン製のネジの両方を用意しまして、自在に重量配分が出来るようになっている点が革新的です。
(加工の難しいタングステンとチタンのボルトねじを精密に無数に加工するコストだけでも確かに気が遠くなりそうですね。)

開発段階で、重量配分の自由度を出すために使われたウエイトのデザインをそのまま見せる方向で敢えて残し、それがフラッグシップデザインになった模様です。

さらに本体は実は中空構造になっていまして、フェースは業界最薄の強化鋼が使われており、空洞部分にはエラストマー樹脂が詰められていて打った時の心地良いフィーリングを与えてくれる設計になっているそうです。



ウエッジとアイアンはウエイトが11個配分されていますが、ドライバーは16個です。


画像をリンクでPXG.comのサイトにリンクしています。


アジャスタブル・ホーゼルによるロフト角他の調節とウエイトの配分の調節によって、各ゴルファーに合わせたフィッティングをするように設計されています。

写真で見えます黒い方のボルトがタングステン製、白い方のボルトがチタン製ですね。


ウエッジ、ハイブリッド、フェアウエーウッド、そしてパターも同様のコンセプトのウエイトが入ったデザインでラインナップされています。


コスト度外視で作ったため、「『価格は高いよ?』と忠告してる。」とボブさんはおっしゃっていますが、全部セットで$5,000ぐらいだそうで、アイアンセットだけだと大体$2,400ぐらいみたいですね。

日本人的には、バブル期のアイアンセットは40万円ぐらいするのが普通でしたし、最高級の技術で良い材料が駆使された道具に$5,000ぐらいの価格は払う人が少なくないように思われます。


最初に使い始めたライアン・ムーアの場合も、「とりあえず使ってみて。良かったら言ってきて。」ということで道具提供したのみで、ムーア自身が気に入って1月にツアーで使い始めたそうです。
それから3ヶ月も経ってから、用具契約を結んだのだそうで。
「ザック・ジョンソンとかも、気に入ったから使ってくれているんであって高い契約料で使ってもらっているわけではないので契約料はかえってうちの方が安いぐらいだよ。」みたいなことをインタビューで仰っていますですね。だからタイガーやマキロイにPXGからお願いすることはないのだそうです。


これは私思いますに、米国の一般ゴルファー市場よりも日本の一般ゴルファーの市場の方が火が付きやすいのではないでしょうか?
とはいえ、今のところまだ日本語ではあまり情報が流れていないように見受けます。


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現時点では、サンディエゴのフェアウエー・ゴルフさんがPXGの取り扱い (←クリック) をすでになさっているようです。
キャメロンのサークルTとかの高価格商品を扱っていらっしゃいますから、なるほど流石だなと思いました。

決してお店の宣伝とかではありませんのですが、以前当ブログでも こちらの160万円のキャメロンのパターを扱っているご紹介をさせていただいたことがあります。


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こっそりと。

私個人的には、ちょっとトライボフォビア 的な意味で、正直デザイン的にはぐっと惹かれるところまでいかないのですが、テクノロジー的にはすごく良さそうだし打ってみたいなー、という気持ちが湧きましたです。(^^)


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追記 : PXG Goldも4/01/2016に発表になりました。



2/04/2016

ゴルフトーナメントの向かうべき姿?!フェニックス・オープン in Arizona


今週はフェニックス・オープンですね。
 私 このトーナメントがとても好きです。

昔から思ってるんですけど、ゴルファーはプロアスリートとしてはすごい甘やかされてるといいますか...、ほかのスポーツのアスリートはみんな観客の大歓声の中でプレーして力を発揮してると思うんですよ。

そういう意味では、このトーナメントの16番ホールだけはそういう他のスポーツのような大歓声に包まれてプレーされていてゴルフの中ではとても異質な大会になっているからです。

TPC Scottsdale Stadium Course (PGA.comからのリンクです。)


“The Greatest Show on Grass” と呼ばれているだけのことはあります。
メジャーを含めても、一番盛り上がる大会じゃないでしょうか。

スコアも -28なんてのが出てますし、観客動員数も一番多い大会です。
(2001年のマーク・カルカベッキアと、2013年のフィル・ミケルソンがマークした -28アンダーが最高スコアです。)

アリゾナ大学の学生たちがこのホールに陣取って、悪いショットを打つと激しくブーイングします。
すごいショットの時には、それはそれで大歓声。


盛り上がりすぎてエスカレートしていったのは、1997年にタイガーが大観衆の目前でホールインワンをやってのけた時でしょうか?



飲み物をぶん投げたりすごい騒ぎになってますが、今振り返りますと当時は今より静かだったなーって印象です。
スタンド席も毎年増築増築で今の方が観客数も断然多いですからね。

ジャスティン・レナードがミスって大ブーイングを受けて中指立てたなんて事件もありましたが、余計に盛り上がっちゃったりして。
だいたいこのホールの観客は酔っ払ってる若者が多いです。

ここ数年は、NFLのスーパーボウルと同じ週に開催されていますよね。
それで最終日を見逃しちゃうことも多いんですが、今年はちゃんと録画しようかと思います。(^^;

また、この大会ではダブル・イーグル(a.k.a.アルバトロス) も2回記録されています。


さすがに打つときには観客も鎮まりますが、打った瞬間から大歓声に包まれますので、すぐ隣にある15番ホールのパー5のグリーン付近などは、大騒音の中でプレーすることになってしまいます。

画像をクリックでリンク元のサイトに。


とはいえ、このホールも2オンが可能な上にこのアイランドグリーンですから、こちらはこちらですごい盛り上がりますね。

地元のアリゾナ大出身のミケルソンがプレーすると一段と盛り上がります。
後輩たちが大騒ぎしていますからねー。

2013年のベストスコア(タイ記録)の勝利を含めて3勝していますから、やっぱり観客の大声援は後押しになるんじゃないでしょうか?

もちろん全部のトーナメントがこうなるべきではないかもしれませんが、観客の大声援の中でプレーして大いに盛り上がるのは、プロスポーツの醍醐味じゃないかと思ったりするのです。



日本人ゴルファーとしましても、昨年は松山英樹が1打差の2位タイに、そして2002年にも横尾要がやはり1打差の2位タイに入っています。

今年もヒデキ・マツヤマにはチャンスあるんじゃないでしょうか?

インフレ気味の大量アンダーを出したプレイヤーが優勝しますので、2015ナンバー1のジョーダン・スピースとかよりもむしろ...、大人気の3勝上げているフィルの他、爆発力のあるプレイヤー、例えばブラント・スネデカーとか、ダニー・リーとかにも大いにチャンスありそうですし、2度勝っているJ.B.ホームズなんかも爆発力が期待できますよね。


今年も大いに盛り上がりそうです。(^^)



1/31/2016

ジョナタン・ベガス (Jhonattan Vegas) の技ありパワー・ショット

昨年に引き続き、PGAのファーマーズ・インシュランス・オープンを観に行ってきました。

日本の誇る松山、石川、両プロが予選落ちしてしまう厳しい大会にあって、今年からPGAのメンバーとなったヒロシ・イワタが堂々の上位争いを繰り広げていましたのでしばらくついて回って応援することに。

ウエブ・ドットコム・ツアーでPGAの出場権を得ているだけあって米国での戦い方のコツを得ていたりするのかも?
(私のようなアベレージの遊びゴルファーには知る由もありませんですが。)

画像をクリックで拡大します。


激しい雨と風による中断の後、再開間近の1番ホール・グリーン。
短いけど予断を許さないパットを残しているジョナタン・ベガスとベン・クレーンとは別にこのホールは既にホールアウトしていたため少しだけリラックス・ムード?の素振り。 この後ぐっと気合が入ります。


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さて、この写真の奥の方に写っている黒い出で立ちが同組でプレーしていたジョナタン・ベガスです。
PGAでも屈指の飛距離を誇るいかにも怪力を思わせるゴルファーですねー。


で、今回取り上げますのは、観戦中に間近で見た口あんぐりのすごいショットです。
とはいえ、PGAのプロとしては当たり前のショットかもしれません。

とにかく私としては「すげーっ!」と思いましたので記念に。

画像をクリックで拡大します。


こちらは一緒に行きましたお友達のSamさんが撮った足元のラフの芝の写真です。
とても極め細かくてふかふか、ボールがスポッと入って沈んでしまったら私なんぞにはウエッジで出すだけでもひと苦労です。


かなり強いアゲンストの風が吹き雨が吹き付ける中、462yのパー4、7番ホールの2打目地点です。

画像をクリックで拡大します。
(白い矢印のところに打った後のディボット跡)


ティーショットをホールの左サイド、カート道よりさらに左の木の下のラフに打ち、この写真の位置に来ました。
写真に白い矢印を入れていますが、ディボット跡が確認できます。

目の前にある木を左から回避し低いボールでスライスをかけて遠方に左端の部分が写っているグリーンに見事にオンさせました。ちょうど木の真後ろ方向です。

何より驚きなのが、この深くて粘くて出ないラフから5番ウッドを打ち抜いて行ったこと、しかも強風の中で完璧に計算されたスライスを209y先のグリーンに。

・・・凄すぎます。

技と怪力の組み合わせでこそなし得る信じ難いスーパー・ショットでした。



コースのレイアウトを、ファーマーズ・インシュランス・オープンのサイトから引用してきました。

画像をクリックでリンク元に。


7番ホールは真ん中右寄りの、ZTEのブースが描かれているところにあります。
というか、ジョナタンのボールはまさにその青丸の付近に来ていました。

7番にズームイン
画像をクリックでリンク元に。


Gって書いてある青丸のところ付近です。

ジョナタン・ベガスというプレイヤーはバッグの中にハイブリッドのクラブを入れておりませんで、ここ数年は DR、3W 、5W、3I 、...というラインナップになっています。

ですからこのショットは、5Wですね。


因みにですが、我々が応援していたヒロシ・イワタは風の中を行く軽いドローの完璧なティーショットでフェアウエーにいまして、残り約235yの2打目を3W で綺麗なピン筋のボールを打ち、しかし強風に戻されて惜しくも右手前のバンカーでした。 そして見事なサンドセーブでこのホール、パー。(^^)

4日目のこの日はティーが少し前で約450yでしたが、PGAのプロが打って2打目に210-240yも残るのですから、この日の強風と悪コンディションぶりが伺えようかと思います。


いやー、ものすごいショットでした。
(でも、3パットしてボギーにしてしまったのがとてももったいなかったです。逆にいいますと、それが故にTVなどのメディアにこのショットが取り上げられることはないでしょう。)


雨と強風と寒さとでとても大変な観戦でしたが、この他にも色々となぜかとても楽しい体験でした。(^^)


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この悪天候でサスペンドされた4日目、ただ一人 -3アンダーという驚異的なスコアでラウンドしたブラント・スネデカーって人は一体どうなってるのか?

確かに早い時間のスタートで4日目のサスペンドの前にホールアウトしましたが、早朝夜明け前から既に悪天候だったのですけれどね...。

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さらにトーナメント終了後に追記:

結局、5日めも雨は上がったものの冷たい風が吹き付けていた様子で、サスペンド再開後のプレーが月曜日になって行われましたがどのプレイヤーもスコアを落とし、最終的に昨日酷い悪条件の下で馬鹿げているほど驚異的な良いスコアを出したスネデカーが逆転逃げ切り優勝を果たした模様です。 すげー。