4/06/2017

ANAインスピレーションでのレキシー・トンプソンの4打罰ペナルティーの件


しばらくぶりの更新です。

先週のLPGAでレキシー・トンプソンに降り掛かったルール問題ですが、今週のマスターズでもひとしきり話題になっています。

女子のメジャー大会に数えられているANAで起きました。


ご承知の方も多いかとは思いますが、一応ことの次第を簡単にまとめておきますと、

最終日の日曜日、12番を終え13番に向かっていたレキシー・トンプソンのグループのところにオフィシャルが近づきまして、レキシーに4打罰が加わることを伝えました。

この時点でレキシーはソ・ユン・リュウに2打の差をつけてトップを走っていましたが、突然のペナルティー措置により、逆に2打を追う展開に激変してしまいました。

この後の6ホール、レキシーはキャディの協力もあって立て直し、18番で追いついてプレーオフに持ち込みましたが、最終的にはソ・ユン・リュウに破れ、メジャータイトルを逃してしまいました。


ペナルティーの内容は、1日前の土曜日の17番ホールの2フィートくらいのショートパットにおいて、ボールをマークして置き直してパットした際にボールをプレースする位置がほんの半インチくらい横にズレていたため、誤所からのプレーで2打罰、そしてさらに間違ったスコアカードを提出したためにもう2打の罰、という裁定でした。

間違ったっスコアカードについては以前は即刻失格でしたが、2012年のルール改正でプレイヤー自身が気付かず故意でなかった場合は2打罰、という風に改定されました。


オフィシャルがレキシーに近づいて4打罰の内容を告げたととき、最初の彼女のリアクションは「なにこれ? 冗談でしょ?」で、内容をよく聞いた後のリアクションも「こんなの馬鹿げてる・・・」でした。
そこからよく立て直して追いついたんですけどねー。


ビデオがありますので、御覧ください。





ボールをマークして’ピックアップし、ボールに書き込んだ線をラインを合わせるように向きを変えて置き直していますが、ボールを拭いたりすることもなく腰を折ってボールをピックしたそのままの姿勢で置いていまして、ボールの後方から見てしゃがんで置き直したりしていないんですよね。

そういう訳で、画面上でも微妙な位置の差、ズレが見て取れてしまいます。

これ、通常のプレーで拭き直したボールをカップとの延長線上の後方からマークのところに置き直していたらおそらく画面では位置の違いがわからないですよね。 カメラの位置も切り替わっているでしょうし。



で、まぁルールとしては4打罰で間違いはありませんのですが、大きな疑問が残ります。

まずは、タイガーやフィル、リッキーはじめ、殆どのツアー・プレイヤーたちがレキシーを支持していまして、フィル・ミケルソンなんかは取り消してタイトルをあげるべきだ、まで言っています。

これはですね、すべてのツアー上でのプレーに関するルール問題は PGA、LPGAのルール・オフィシャルとプレイヤーの中で完結するべきで、家でTV見ている視聴者(観客)が関与するべき事柄ではない、っていう考えに基づいているものです。 私もそう思います。


今回の問題でも私がものすごく納得行かないのは、視聴者が関わっていることもさておき、タイミングで2打、4打、0打と罰打の数字が変わってくる点です。
これは確か以前、『これがバンカーってのは、無いよなー。』という記事のコメント欄でも同じことを書きました。(...7年前ですね。)

件の誤所からのプレーは前日土曜日の17番で起きているわけです。
土曜日の17番がプレーされた時点ですぐに視聴者からの連絡があって、ルール・オフィシャルが確認した場合、その日のラウンド後のスコアカードを提出する前にオフィシャルがレキシーに通達したとしたら、誤所からのプレーの2打の罰だけで済むことになります。

しかし17番で起きるとその日のうちには間に合わない場合が多いかもしれません。
もし10番だったら間に合うかもしれません。
で、同じ行為に対してただ単に指摘されるタイミングによって罰打の数字が違ってきちゃって良いんでしょうか??

気がついた視聴者がいなかったら、誤所からのプレーの2打罰さえ付かないわけです。

また、指摘が日曜日にトーナメントを終えた後だったら、というケースもありえます。


もっとすごいのは、フィルが言うにはツアーではボールの置き直しはもっとテキトーにやってるプロもいて、1インチ半 (つまり4cm弱) もカップ寄りの前方に置いちゃってるやつも居るけど罰に問われてないよ、って話です。
(まぁ、この件は今回の本題とは別の問題ですが、ツアープロの間ではそういう認識なんだな、っていうことは頭に入れておいても良いと思います。)


ゴルフ中継には、TVに写っていない場面もたくさんありますしね。


私が思うには、モニター画面で中継画像を監視するオフィシャルを置いて、こうした画面で確認できるルール上のバイオレーションはそのオフィシャルたちがジャッジをして、即時に (自分ではルールを犯したことに気づいていない)プレイヤーに通達する。そしてそうでない限り不問に付す、って言う措置で十分だと思います。

そうすれば、通知のタイミングによって罰打の数が違っちゃう問題も解消できますし、ツアーと関係ない単なる一視聴者の勝敗への関与も排除できます。

PGAあるいはUSGAが、なんでこんな簡単な解決策に持っていけないのか、理解に苦しみます。






2/10/2017

なにかと巷で話題のコストコ・ボール (Kirkland Signature balls) 顛末


2/10/2017 追記: 

元々は12/21/2016に投稿した記事だったのですが、追記します。


こちらの、My Golf Spy.com の記事によりますと、K-Sigことコストコのシグニチャー・ボールは当面の間 販売が停止される見込みと発表されたそうです。

Costco Suspends Production of the Kirkland Signature Golf Ball


上記リンクの記事によりますと、こちらの「続きを読む>>」の方で書きましたように、Nassau Golf の Quattro というモデルのオーバーランをコストコが買い取り売りに出したもので始まったようで、今後は見通しが立たない様子です。

(こちらは私見ですが、なんかね、出来上がったボールに更に塗装かけたような感じしてたんですよ、記事にも書きましたが。)


コストコの方は、こちらの記事にありますように、“コストコ・シグニチャー・ボールは戻ってくる。”って言ってるそうですが、

Costco says golf balls will return

My Golf Spy.com の記事にありますように、Nassau Golf がやる気なさそうですので復活したとしても中身は別のボールになりそうです。

そして My Golf Spy.com が予想しているように、2ダースで$29.99という低価格での提供が前提ですと、どこまで良いボールが入手できるか? という点から見れば、この話は終ったも同然、という読みは正しいように思います。
(K-Sigに「RIP (安らかに眠れ)」マークまで付けちゃって、洒落が利いてますね。)


製造元の場所的にはこんなこっちゃないかな、とは思ってましたが・・・


一応続報が出たらまたレポートしようかと思います。


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タイガーの久々の復帰にゴルフ界が沸いていますねー。しかしながらナイキがゴルフ用具ビジネスからの撤退を発表したということで、タイガーが何を使うのかひとしきり話題になっていまして、今回ドライバーがテーラーメードのM2、ウッド類はM1、アイアンはまだナイキ、そしてタイガーが使うボールはなんとブリヂストンのB330Sということが判明しました。

ブライソン・ディシャンボウの使用球もこちらだそうです。

タイガーがなんかすると一気に話題になるっていうのは、やっぱりすごいですね。


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さて、そんな中 私の友人たちの界隈では以前から特定のゴルフボールは売っていたコストコから、コストコ自社ブランドのボールが出て、しかもこれがものすごく評判がいい、ってことでちょっとした騒ぎになっていました。

登場して間もなく11月中頃には在庫切れ、手に入りませんでした。
11/21に再入荷、Costoco.comで入手できますってことだったのですが、12/09 現在 未だに在庫切れを起こしている様子です。 Costco店舗にもまだありません。
ちょっとすごい旋風ですね。


どんなボールでどんな風に評判が良いのか、どんな性能なのか、って言いますと、ブログお友達でロンドンにお住まいのYutakaさんのブログに日本語で分かりやすく紹介されています。

コストコのKirkland Signatureボールは Titleist Pro V1 に勝るとも劣らない // MyGolfSpy


リンクを貼ってご紹介なさっていますけれども、MyGolfSpy.comの記事をご紹介くださったものです。


Kirkland Signature (vs) Titleist Pro V1 // MyGolfSpy


MyGolfSpy.comの記事の結論としましては、ゴルフ界で最も人気が高く評価も高いタイトリストのPro V1と比較して複数人のテスターが打ったデータを比較したところ、

ドライバーではほんの少し300rpmほどスピンが少なく、9yほど飛ぶ
6番アイアンでは、スピン量、飛距離とも同等
ウエッジのショットでは、200rpmほどスピン量が多く飛距離は同等

と、いうことで、ほぼ同じ性能が出ている、ということでした。


違いは、Pro V1が3ピース構造に対して、Signatureは4ピース構造、

そして最大の違いは、Pro V1が1ダース $48に対して、Signatureは $15、っていう値段の差ですね。
いつものコストコならではの高性能・低価格の戦略商品です。


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ここまでが前置きで、このボールを超個人的な感想でもってレビューをしてみたいと思います。

・・・私が打ってみた感触とかを書いてもあんまり参考にはなんないかも、とは思いますが (笑) ...それはさておいて。


こちらが入手したスリーブです。

画像をクリックで拡大します。


1ダース $15 っていうのは、「相当」ってことで、正確には 2ダースで $29.99なんですよね。
試してみるのに 2ダースは要りませんので、すでに購入していたお友達にSrixonのボールと物々交換で 2スリーブ分けてもらいました。(笑)


ちなみにですが、KirklandっていうのはCostco最初の倉庫店舗がシアトルで、シアトルから湾の向かいっ側の街がKirklandです。

ウレタンカバーらしいんですが、ボール表面的には Pro V1 とかよりもやや硬く感じます。
種類の違うウレタンなのでしょうか。

そのせいかどうか、耐久性も申し分ないってレビューを書いている人が多い印象です。


私が 1.5ラウンド使ったボールがありますので、写真を載せてみます。
木にぶつけたり、カート道に跳ねたり、まぁそういうゴルファーが使ったものとご承知ください。

画像をクリックで拡大します。

こっちの傷はパー5の2打目で跳ねたカート道かな?
(ラウンド終わってからボール洗ったんですけどね。)


画像をクリックで拡大します。

こちらは両方とも、木にぶつけた時の傷じゃなかろうかと思います。
小さい方が、枝をカスって抜けていったショットの時の方じゃないかと思います。

いつも赤マジックでマーキング入れているのですが、そのマーキングが擦れて消えやすいボールの表面でした。ラウンド中に 2度ほど塗り直し。

2スリーブ 6球持って行ったんですけど、結局ラウンドではこのボールしか打ちませんでした。 3つでローテーションとかせず、1個を使い倒し。

写真を今になってよく見ると、白い色が微妙に剥げているのがわかります。
最表面は塗料が塗られている「かも」しれませんね、4ピース構造の上に。


チップショットやアプローチショットなどでのウエッジで打った時のスピン量ですが、今回はあまりピンと来ませんでした。

私はMG ゴルフの Tour C4っていうボールを愛用しています。
今のところTour C4の方が柔らかくてスピンが効くような印象を受けてますが、スピン量を測って打った訳ではありませんので、不確かかもしれません。

行ったゴルフ場が苦手のKIKUYU芝で、気の利いたスピンのショットをあまり打てなかった私の技量の問題も大いに影響していたかと思います。

ですからこの点は、次回以降に持ち越しいたします。(機会がありましたらあとでこの記事に追記いたします。)


ドライバーの飛距離および弾道につきましては、私の実力ではとても 1ラウンドで違いが感じられるような感性を持ち合わせておりませんので、これも持ち越し。 (すみません。)

パッティングした時の、パターにカツンと当たる時の感触は悪くありませんでした。
結構ソフトな感じだったと思います。



(ちょっとこの続きは、「続きを読む>>」の方で。)

2/08/2017

ブライソン・ディシャンボウのサイドサドルとUSGAの裏工作


ゴルフ・サイエンティストこと、ブライソン・ディシャンボウについては以前、同じ年にNCAAディビジョンのチャンピオンシップとUSアマチュアの両方を制した5人目のプレイヤーとしてご紹介しましたが、その後のツアーでの活躍を見るのは楽しいですね。

昨年の10月には来日もしてブリジストン・オープンに出場しましたが、残念ながら背中の故障で1日目の途中で棄権してしまいましたね。

写真元のサイトのページにリンクしています。


そのディシャンボウですが、そのブリジストン・オープンの頃から何年も前から試していたというサイド・サドル式のパッティング法をトーナメントの実践に投入し始めています。

サム・スニードが60年台に始めたサイド・サドル打法は、2010年にKJチョイがしばらく使っていたこともありましたよね。

でも、ディシャンボウのサイド・サドルはいわゆるポピュラーなサイドサドル式とはひと味もふた味も違います。

YouTubeに上がっている動画を見ていただきましょう。



左手で右腕をパターのグリップごと掴み、一体化させています。
左右の手が離れて使われるスタイルの多い一般的なサイド・サドル打法ではありませんね。

しかしながら、カップとボールに正対して構える利点は活かされています。


今回取り上げました騒動で問題になっているのが、ちょうどブリジストン・オープンのときに使っていたパターです。

こんなやつ。 ↓

クリックで画像元のサイト・ページにリンクしてます。



ところがですね、1月にカリフォルニアのLa Quintaで行われたCareerBuilder Challengeというトーナメントでディシャンボウにこっそり近づき、「そのパターはルール不適合にするから使うのやめないとDQ (競技失格)にするよ。」と通達してきたそうなんですね。

この記事 ↓ に、そう書かれています。
Bryson DeChambeau's desired putter ruled non-conforming by USGA, and he’s not happy


結局この時にディシャンボウが使ったパターは別のもので、パターヘッドのセンターではなくヘッドの後方の位置にシャフトが付いている別バージョンのものでした。

記事に乗っている写真のパターですね。 シャフトがパターヘッドの後方に付いています。

クリックで記事にリンクしてます。



・・・ここが分かりません。

USGA (とR&A) のルールにはそんなこと書いていないんですよね。


こちらにクラブのデザインに関してのルールが書かれています。

Appendix II  - Design of Clubs
http://www.usga.org/rules/rules-and-decisions.html#!rule-14323

このページの、2. Shaft の c. Attachment to Clubhead の項目に、

Exception for Putters: The shaft or neck or socket of a putter may be fixed at any point in the head.
パターについての例外:パターのシャフト、ネック、ソケットはクラブヘッドのどの部分に取り付けてもよい。

パターは例外だ、とはっきり書かれているんですよね。


件の記事には、USGAがディシャンボウに対して「君のパッティング方法自体も好ましくない。」と通達してきたというディシャンボウのコメントも書かれています。

つまりUSGAは、なんとかしてディシャンボウの取り組みを阻害したいって言うことのようです。
しかも裏でコソコソやるところがズルいですねー。


ディシャンボウの長年のインストラクターの Mike Schyは、
ディシャンボウはこうしたUSGAのやり方に失望しているとともに、決して屈することなくむしろ反骨精神は強まるだろう。という見解を述べているそうです。


今季のディシャンボウはハワイのソニー・オープンで49位タイに入ったあと、CareerBuilder ChallengeとサンディエゴのTorrey Pinesで行われた Farmers Insurance Openと予選落ちが続いています。

さすがに揉めている状態では集中もできませんよね。


応援して行きたいと思います。