英語シリーズ第6弾です。
目土って英語でどう言うかご存知でしょうか?
“divot filling mixes”とか、省略して単に“mix”と言います。
ちなみに可算名詞で、不定冠詞には“a”が付きます。
USGAやR&Aでも、この表現です。
“divot sand”という言い方でも通じます。
砂と土を混ぜてあって水分を含ませてあり、場合によっては芝の種も混ぜ込んでありますから、まさに「ディボット埋めミックス」って感じですよね。
ちなみに、本来の“divot”は凹みの方ではなくて、削り取られた「わらじ型の芝片」の方です。
そういえば、なんで日本語で、「目」土って言うんでしょうかね?
マイ・目土袋(orボトル)で気をつけなくてはいけないのが、一回一回の
清掃・洗浄でしょうか。
土や砂の成分に雑草が入っていることも少なくないですし、別なコースの別な種類の芝種が混じっても実は厄介だそうです。
主にメンバーさんを中心に実践した方がいいのかも知れませんね。
ぱぱさんのブログで緑色の目土があると伺って「へー」って思ったのですが、米国にも“Green divot sand”って言う商品を売ってる会社があるようでした。
さて今回は、球筋に関する英語表現を見てみることにします。
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フック、ドロー、フェード、スライス、さらにはプッシュアウト、プルなど、球筋を表現する単語がありますよね。
この分野では、それほど和製英語化されてはいないようです。
プッシュ・フック、プル・スライスなんていう表現も使われています。右に出てから左に曲って行くフックと、左に出てから右に曲がっていくスライスですね。
(すべて右打ちの場合の表現で書いています。レフティの方は左右を入れ替えてお読み下さい。)
chart by Ty Daniel’s Golf
(画像をクリックで拡大します。)
もうずいぶん前になりますが、「(トミー中島こと)中島常幸プロが米国の
PGAツアーに行った時に『僕の持ち球はドロー系だ』と発言したところ、あるPGAのプロから『君のはフックだよ。』と言われてしまった。」と言う逸話がありました。
ジャンボ尾崎が打つハイドローに、ほとんどに近い日本中のゴルファーが憧れていた時期でしたでしょうか。
あの逸話ね、ちょっと胡散臭いと思うんですよ。(笑)
いくらゴルフのプロとは言え、そんな細かいこと言うアメリカ人が居るとは到底思えないんです。
もし本当にあった話だったとしたら、たとえばファルドとか英国系の皮肉屋さん系のプロが日本からはるばるやって来たトミーをからかい半分に言った“ジョーク”だったんじゃなかろうかと思うんですね。
トミーは素晴らしい球を打ってましたから。
日本ではどうも、ドローって言うのはあくまでも「真っ直ぐに出てスピンで上がって行って、最後ボールが落ち際にほんの2-3ヤードぐらい左に落ちるボールである」とされていたりしますけどねー。
そんなボールは米国人ならストレートと表現すると思うんですよね。
英語でのドロー/フェードの解釈ですが、実はキチンと用語として統一はされていません。
例を見ていってリサーチしてみましょう。
上に引用したチャートを描いたサイトはここです。
↓
Ty Daniel’s
http://www.tydaniels.com/hook-slice-fade/
ここでは、曲がりの大きいのがフック/スライスで、真っ直ぐ出てから最後に左右に少し曲がるのがドロー/フェード、真っ直ぐに左右に出て行くのがプル/プッシュだと解説されています。
真っ直ぐに飛ぶショットは、「“Purely Hit Shot”または“Pure Shot”と言う。」と書かれています。
そんなこと無いと思うなー。Pureに打たなくったって見かけ上真っ直ぐな弾道で飛んでくボールとかあるもんなぁ。
芯食っていたって曲がるボールもあるし。
今度はGolf Illustratedでの使われ方。
↓
Golf Illustrated
http://www.golfillustratedproshop.com/Detail.bok?no=285
ここでは、ドローと言うのはコントロールされたフックであり、フェードはコントロールされたスライスである、とされています。
フックやスライスは、ラフや木の中、バンカーやOBに終わるショットだが、ドローやフェードは往々にして次のショットがキチンと狙える良いライに留まるのだ。ということです。
次は日本にもあるYahoo!知恵袋の英語版の例。
↓
Yahoo!answers
http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20070829090134AAZsZfe
ここでも、Golf Illustratedと同様の回答がされています。
コントロールされているかいないか。
加えて、スイングにある問題点を指摘する時にフック/スライスという表現を使い、ドロー/フェードは意図を持って打たれるものである、と回答されています。
これも一意見。
もうひとつ。
日本にもあるAll Aboutというサイトの英語版ゴルフ編、Golf.About.com。
↓
Golf.About.com
http://golf.about.com/cs/golfterms/g/bldef_fade.htm
ここでは、「スライスとフェードは同じ軌道だが、スライスの方が一般に曲がりが大きく、右打ちにもっとも多く起こるミスショットに起因するが、フェードの方は故意に打たれており、世界的なプレイヤー、ニクラスやホーガンなどが好んだ弾道である。」と解説されています。
総合しますと、何となく分かって来ますね。(^^)
ここで私流に、単語本来の意味合いからの考察を加えてみます。
それぞれの単語が使われている例を、日本でもわりと知られているものを引き合いにみていってみましょう。
Hook:
キャプテン・フックって居ますね。あの右手のカギ型のフックです。
洋服を引っ掛けるハンガーに付いているのもフック。
本来は「引っ“掛ける”」という意味の単語です。 pull(引っ張る)との違いを感じてください。
Draw:
ドローワー(引き出し)なんかがありますね。
引っぱる、引き寄せるという意味の単語です。
同じ引っ張ると言う意味の動詞、pullとの違いは、pullが一般的・全般的に「引く」という意味で使われるのに対して、drawは
引かれたときの動きが緩く、一様であることをニュアンスとして持っています。
drawには描くという意味もあります。まさに弾道を描くイメージです。
Fade:
フェード・アウトって言いますね。
光や音、色などが薄れる、色あせることを言いますが、他動詞で色をあせさせる、衰えさせる、と言う意味があります。フェード・アウトは、意図的に音量を小さくしていっている訳です。
Slice:
スライス・チーズとかの、sliceです。
薄く切り分けられたもの、薄く切り分ける動作ですが、スポーツ全般に利き手の方へ曲がっていくボールをスライスと表現しますので、これは語源が分かりやすいかと思います。
大きい肉塊などをスライスする時の手の動きになぞらえられたものでしょう。
つまり私が考えます結論は、ドロー/フェードとフック/スライスの違いは、曲がりの大きい/小さいの問題ではなく、意図されてコントロールされた曲がりなのか、それともミスした結果としての曲がりなのか?という部分が主たる表現の分れ目であって、曲がる大きさは本来は問題ではなかろう、と言うものです。
同時に、得てして故意に曲げる場合には、それほど大きな曲がりは必要とされないものです。
ちなみに、大きく曲がるボールはしばしば“banana”と表現されます。
ついでに調べてみましたが、「ダグフック」という和製英語表現は、
(私は知りませんでしたが)英語の“Duck hook”から来ているんだそうで、鴨の首のように曲がるっていう表現のようです。
チーピンっていうのと同じ発想で、形から取ったんですね。
例えばジム・フューリックのように、ショットを打つ前には毎回かならずドローかフェードかどちらかの弾道をイメージしてからセットアップに入る、と言っているプロも居ます。
コリン・モンゴメリーは、打った後の20° ぐらい左を向いたターフのディボット跡をみて、「僕のディボットはいつもこのぐらい左を向くんだ。これが自分にとってはナチュラルなスイング軌道なのさ。」と解説していました。
トミーに関する逸話、英語と言う観点からみますと私には到底そのまま信じることは出来ないのです。(笑)
(英語シリーズの過去ログ・リンク)
第1回:
Good Drive!!
第2回:
いやん、バンカー!
第3回:
パットのOKを英語で
第4回:
ゴルフ・ジョーク2本
第5回:
ダフる