4/23/2022

Dylan Frittelli の頭上ショットとルール上のペナルティ、64年を経たサムスニードとの関係 (RBC Heritage 2022)

Sand Canyon CC の Desert Course の 8番ホールのグリーン後ろに、アガベの花がたくさん咲いていたのでホールを振り向いて写真を撮りました。


アガベっていうのはサボテンの一種で、テキーラを作る原料になります。

このコースは、以前 Robinson Ranch GCっていう名前でした。その時にご紹介をしています。
とても綺麗なコースです。ちょっと遠いのですが。


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さて、題記の件ですが、先週の ジョーダン・スピースが優勝した RBC Heritage の最終日に面白い事件が起きていました。


7打差の 4アンダーで来ていた 6番ホール、Dylan Frittelli のティーショットはフェアウエー左サイドの木の上、もしゃもしゃした葉っぱの中に止まってしまいました。


こちらが Golf.comの記事です。
Pro amused, saddened by bizarre penalty: ‘The rules of golf remain undefeated’ (プロもびっくりの奇妙なペナルティ:  やっぱりゴルフルールには敵わない)


木の上の葉っぱの中にひっかっかっていたボールは、頭の位置より少し高いくらいの場所で、ボールの確認はできたようです。

そこで Frettelli はドライバーを持って頭上に掲げ、剣道のお面を打つようにしてパチンとボールを打ち出し、約20-30yくらいでしょうかね、フェアウエーにボールを出しました。

そしてそこからの 3打目はグリーンへすごく良いショットを打って、ワンパットで沈めなんとパーをセーブして切り抜けました。


ご本人のインスタグラムに、その時の様子の動画が上がっています。
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こちらがキャプチャー画像です。




見事なパーセーブだったのですが、ラウンド終了後にルールオフィシャルから「このプレーは 2打罰になる」と告げられ、3アンダー、56位でのフィニッシュだったはずが 66位に順位を下げてしまいました。(以前は失格扱いでしたからこれでもだいぶマシになりましたが。)


これはルール的にどういうことかといいますと、今から60数年前に遡ります。

タイガーが生涯最多勝利数 82勝で並びかけているゴルフ界のレジェンド、サム・スニードが1960年代にショートパットのイップスにかかってしまい極度のスランプに陥りました。

このときにスニードが編み出したのが、クロケットスタイル、と呼ばれたパッティングスタイルで、体の正面にパターをセットして股の間から前に向かって振り出すようにしてパットしました。


このパッティングスタイルは、ボコボコ入りましたため、68年にはルール上で禁止されてしまいました。

プレーのラインを両足でまたぐことは禁止になり、そこでサム・スニードがまたまた編み出したのが、サイド・サドル・スタイルと呼ばれているパッティング法です。こちら。



現在では、サイド・サドル・スタイルのパッティングをするゴルファーは長尺のパターを使っていることが多いかと思います。

このときにUSGAならびにR&Aは、おそらくグリーンの外からでもクロケット・スタイルでプレーすることを想定していて、パッティングに限定することなく、プレーのラインを両足の間に跨いでプレーすることを原則として禁止しました。


そういう訳で今回、クロケットスタイルとはなんの関係もありませんが、 Dylan Frittelli の上の動画とキャプチャー画像のボールの打ち方は、プレーのラインを跨いでしまっているために違反となってしまったのです。

これはですね、元々のルールの意図としては、かなり理不尽です。
両足を揃え、少し体を横にずらしてプレーのラインから外れておいてボールをはたき落とせばセーフだったのですけれどねー。

今回の件は、ルール上とてもめずらしい案件だと思いましたので取り上げてメモしてみました。



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