裁定集は読んでて面白いですよ、ってことを書いたんですが、自分でも体験した具体例がありましたので、ご紹介します。
これは、先日の
TPC バレンシアでのラウンド中に起きました。
ちょうど裁定集を読んで覚えていた事例でしたので、適切に処置が出来ました。(読んでいても覚えていない事項も多かったりしてえらそうなことは言えないのですが。(^^;)
ことが起きたのは、1番ホールです。
でもこの日は8番からのスタートでしたので、12ホール目での出来事だということになります。
このホールのレイアウトは、ヤーデージ・ブックではこうなっています。↓
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青ティーからは389yのパー4で、スタートホールにふさわしく、プレイヤーに不必要なプレッシャーを与えず清清しくスタートできるように考えられた、割合に広々としたフェアウエイへと豪快に打ち下ろしていける、とても見晴らしのいいホールです。
たまたまティーからの写真も撮っていましたので、ご紹介しますね。↓
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左サイドに見えるフェアウエイ・バンカーは青ティーから248yで手前の縁まで届くとヤーデージブックに書いてありますので、大きさを考慮すれば私のドライバーではビンゴで捕まる距離です。
とはいえ、このバンカーの左は写真からも想像に難くない通り自然保護区域に一直線で下ってしまいますので、設計的には救済バンカー的な意味合いも強いかと思います。
あごが浅くてグリーン狙えますしね。
グリーン左手前にはガードバンカーがありますし、ホール全体が左に傾いておりますので、フェアウエイのやや右サイドに打って行きたいところではあります。
私の計画では、右サイドの木(ヤーデージブックにも描かれている木です)の張り出した枝の左端辺りを通過する普段のドローボールで打っていくつもりだったのですが、なかなか計画通りには行きません。(笑)
ヒール気味に打ったボールは予定より左方向のちょうど遠くに見えているガードバンカーぐらいの方向に飛び出しまして、そこからくっくっと微妙にフェードしまして。
狙う予定だった張り出した枝の左端辺りへバウンドしたのですが、木の根元の茶色いウッドチップ・エリアに向かってフェアウエイはすり鉢状に凹んでいまして、フェアウエイにバウンドしたあと、木の根元の結構近くまで吸い寄せられてしまいました。
ヒール寄りでしたので、飛距離も失って打ち下ろしなのに245yぐらいしか出なかったんですね。
計画では、いいショットが打てれば残り110yぐらいの、ヤーデージブックで言いますと、102・ って書いてある地点と ・117って書いている地点の間ぐらいのところに行くつもりでいたんですが。
ま、いつも上手くは行きませんわね、私の実力ですから。(^^;
それでボールの所に行ってみますと、木よりはグリーン寄りの茶色い部分にありまして、木の左側ですし、右打ちの私には、グリーンに打っていくにはさほど支障の無いライにありました。
目の前のすり鉢のマウンドは越えて打たなければならないのですが。
ところがですね、木の幹の下の方に穴が空いておりまして、Bumble Bee(蜂)がたくさんブンブン飛び回っていたんです。
で、まさにこの状況が裁定集に掲載されています。
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(第3章) 1-4/10 危険な状況;ガラガラヘビや蜂がプレーの妨げとなる
質問: プレーするには危険な状態の所(例えば、ガラガラヘビや蜂の巣の近く)に球が止まった場合、プレーヤーは、①球をあるがままの状態でプレーする、②適用できれば、規則26(ウォーターハザード)または規則28(アンプレヤブルの球)に基づいて処置することの他に、何か選択肢はないか。
回答: ある。そのような危険な状況の所であるがままにプレーすることをプレーヤーに期待することは道理に合わないし、また規則26(ウォーターハザード)または規則28(アンプレヤブルの球)に基づいてプレーヤーに1打の罰を課すことを求めるのもフェアではない。
公正の理念(規則1-4)にしたがって、プレーヤーは追加の選択肢として、危険でない場所で、ホールに近づかず、しかも球の止まっていた箇所に最も近い所に球を罰なしにドロップすることができる。
球がハザード内にあった場合は、できれば同じハザード内に(もしそれが不可能ならば、近くの似たようなハザード内に)ドロップすべきであるが、いずれの場合もホールに近づいてはならない。ハザード内に球をドロップできるそのような場所がない場合、プレーヤーはホールと球のあった箇所とを結んだ線上でそのハザードの後方に、1打の罰のもとに球をドロップすることができる。
その危険な状況以外のものによる障害のためにストロークを行うことが明らかに無理な場合、またはその危険な状況による障害が不必要に異常なスタンスやスイングやプレーの方向をとることによってだけ生じるような場合、プレーヤーは前記の救済を受けることはできないが、適用できる場合に規則26または規則28に基づいて処置することは認められる。
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(ちなみに、次の1-4/11に書かれていますが、うるしや、さぼてん、いらくさといった植物の茂みで危険な状況には適用されません。)
そういう訳で私は、茶色いエリアの一番左にグリーンに近付かない範囲でドロップする位置を決めてティーでマークをし、(ボールを池から拾う道具で(笑))ボールをピックアップしまして、『罰打無し』でドロップして打ちました。
この時、スタンスは緑色の区域に乗るぐらいまで左に避難したのですが、ボールは茶色い区域です。
蜂は飛び回りますので、どこまで離れれば“危険でない場所”かは、判断の難しいところですが、元のボール位置と同様のライになる茶色い区域の外まで避難する訳には行きませんので、妥当な措置をとったと思います。
150yぐらいで、目の前のマウンドをクリアして打ち下ろしです。
8番アイアンで届きそうな距離ですが、上の枝にかからないよう、6番アイアンでノックダウン・ショット気味に低くハーフショットしました。
結果として、たまたま運良くカップの右手前3歩に付いてくれてバーディーが取れたって訳です。
裁定集はUSGAとR&Aの発行のものの直訳ですので、米国らしく『ガラガラヘビ』が例に出ていて、なんかちょっと可笑しいです。
日本版なら、さしずめマムシですよね。(^^)
この前のドス・ラゴスのコースにも、普通にガラガラヘビ注意の看板が立ってましたからね。(笑)
他にも、こんな裁定があったりしますから、使用ボールを日本でも人気のあるTitlelistのPro V1xあたりにしとこうかなー、なんてムシのいいことも考えちゃったりしますね。(笑)
(行動するまではまだ行かないですけど。)
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5-1/5 他のプレーヤーから球を借りることはできるか
質問: 正規のラウンド中に手持ちの球を全部使い果たした場合、プレーヤーは他のプレーヤーから球を借りることができるか。
回答: 借りることができる。規則4-4aはプレーヤーがコース上でプレーしている他のプレーヤーからクラブを借りることを禁止しているが、他の用具(例えば、球やタオル、手袋、ティーペッグなど)を他のプレーヤーや局外者から借りることは禁止していない。
付属規則Ⅰのワンボール条件を採用している場合は、プレーヤーはワンボール条件で求められている
同じブランド・同じタイプの球を借りなければならない。
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ねー、ボールがおんなじじゃないと、借りられないでしょ?(笑)
今後も、時々面白い事例に出くわしたらアップして行こうと思います。(^^)
おまけ:
私は普段は英語版を読んでいまして、JGAの翻訳の忠実振りには舌を巻いておりますが、それで気が付いたことがありました。
この翻訳なんか、英語の意味を咀嚼してよく補足解説して訳されています。
16-2/3 Casting Shadow on Ball Overhanging Hole
(16-2/3 ホールのふちからせり出して止まっている球を、自分の影の中に入れてホールインさせようとする)
それでも、
続く質問内容と回答(16-2/3)をよく読まないと意味わかんないでしょ?(笑)
ところが気が付きましたのは、
英語版のUSGAの裁定集では、裁定集の発行後に、訂正が行われているんです。13-4/38です。
http://www.usga.org/news/2008/January/decision13.html
JGAの日本語版には、13-4/38の回答の2段落目の訂正の部分が「訂正」されるのではなくて、まるまる削除されていますねぇ。
なんでだろ?