2/03/2019

ショートパットを決める際の心構え ...を考察


お友だちのsyoballさんが、「ショートパットは運だ」という言わば哲学をブログに書かれていまして。

私なりにすごく思うところありまして、引用させていただいた上で私のゴルフの場合を考察してみたいと思います。あくまでも私個人の場合です。





こちらがそのブログ記事です。

ゴルフスコアを極めるための究極はそもそも不可能側にあるのだ
    ... by syoball
・ゴルフスコアとは、結局、いかにSPが入るか?というところに行き着く。
・残念なことに、SPが入るかどうか?は、結果論であり、入るか入らないかのデジタルである。
・とんでもなくソッポ向いたり、ありえないほどひっぱたいたりすることは論外である。
・そうじゃなくて、スコアを良くしようと、真剣にSPをきっちりきめようとするのが普通だ。
・SPが入ったことを自分の能力のおかげだと思ったり、SPが入らなかったことを自分の責任だと思ったりするのは
ナンセンスである
・入る確率があがるべく努力するのはゴルファーとして当然である。
・しかし、しょせん、スコアはSPが入るかどうかでかなりの程度決まってしまう。
・よって、スコアだけにこだわると、なぜSPがもっと入らないか?という議論に必ずなってしまう。
・それで私は、SPは運だということに決めた。以後、いやになりかけたゴルフが楽しめるようになった。
・真剣にSPを入れようとする(過程)けれども、入ったかどうか(結果)で自分の責任と思うのをやめたのである。

syoballさんはパッティング技術に関しては非常によく研究なさっていて、道具としてのパターやラインの読み、距離感なども含めて実はきめ細かくパッティングなさっているのですが、こと SP (ショートパット) に関しては、達観して運が良ければ入るが運が悪いと外れることもある。という風に考えていらっしゃる、ということですね。

私はsyoballさんが書かれていることに概ね同意です。

真剣に競技ゴルフを楽しんでいらっしゃる方の中には完全ホールアウトでプレーし、時にはイップスなどとも戦いながらショートパットに向き合っていらしゃる方も少なくないでしょう。
私も、そういうグループのゴルファー友だちもおりまして、そういったゴルフをたまにはいたします。


私自身、パッティングを考えることがとても好きでして、当ブログにもパッティング関連の記事が93件もあります。
しかしその93件の中で、ショートパットに焦点を当てている記事は2つくらいしかありません。
実際普段の友人とのラウンドでは、完全ホールアウトせずOKありで手短にプレーしています。

こちらに過去ログのショートパットの記事がひとつあります。

ショートパットをオートマチックに決める

フォロースルーしたパターヘッドが、カップの上を通り抜けるイメージで打ち抜くパッティングがショートパットに有効だよ、というビデオだったのですが8年も前でしたので動画は消えているようです。

この時に私がイメージしていた距離は、2フィート (約60cm)くらいのショートパットでした。 広げたとしても 3フィート (約91cm)。
決めたい気持ちが強い残り距離ですね。 寄せとしても成功したという感触の状況です。


---


ちょっと考えてみたのですが、1ラウンドにショートパットは少なくとも18回はありますね。 OKも、タップインも全部含めて、です。 グリーン外からのチップインとか、ロングパットが入ったりがありますと、その分減りますが、ショートパットを外すとその分増えます。
アベレージプレイヤーだと大体、18-21回くらいと思ってよいでしょうか。

ロングパットとミドルレンジのパットを外せば、これもショートパットを残すわけです。
願わくば、タップインの距離が残ってほしいですが。


さて、ここで非常に疑問になってきますのは、いわゆる「ショートパット」ってどの距離以下を指すのだろう?ってことですね。

ざっと検索してみますと、日本では、1.5m-2mをショートパットと表現している模様です。
米国では、6フィート (1.8m) 以下という認識が一般的なショートパットのイメージの模様です。


でも私の認識では、2mもあるとカップインする確率は通常のアマチュアの場合せいぜい20%です。 90%入る60cmとは全然パットの種類と意味合いが違います。


過去ログにありますデータを振り返ってみましょう。

パットってどのくらい入るもんなの?

記事を自分で読み返してみても興味深いですね。記憶っていうのはおぼろげです。

図をクリックで拡大します。

青い帯がPGAのツアー・プロの色々なトーナメントでの集計結果で、ピンク色の線がHDCP 15-25くらいのアマチュアの平均的なデータです。

記事中に抜き出された数字を再掲載してみます。
ツアープロは、
3フィート(約91cm)で90%、
6フィート(約1.8m)で50%、
9フィート(約2.7m)が30%、
12フィート(約3.6m)が20%、
18フィート(約5.4m)で10%、
30フィート(約9.1m)で5%、
42フィート(約12.7m)でも約4%がカップインします。 
一方のアマチュア(HDCP15-25)では、
3フィート(約91cm)で75%、
6フィート(約1.8m)で25%、
9フィート(約2.7m)が10%、
12フィート(約3.6m)が5%、
18フィート(約5.4m)で2%、
30フィート(約9.1m)で1%、
42フィート(約12.7m)では0.5%しかカップインしません。

で、過去のランド記録も見てみますと、1歩の距離 (70cm前後) がラウンドに大体3回程度で、もちろんラウンドによっては9回もあったりと大きく違うのですが、イメージ的に言いますと(私の場合ですが)

タップイン含めた3フィート (約91cm) 以下が10回くらい、4~5フィート (約1.2m~1.5m) が6回くらい、6~7フィート (約1.8~2.1m) くらいの厳しい残り距離が3~4回くらい、ショートパットとして 1ラウンド中に発現する、というイメージのようです。

そうすると、パットがよく入る日とショートパットをよく外す日とで、スコアにして 約 +/- 4ストロークの差が出ます。
パットが調子よい日のスコアと悪い日のスコアは、8打くらいの差になって出てしまうという訳ですね。


上の表の数字から見てみますと、

0~3フィート (約0~91cm) は、100~75%入るということで、大体 90%、
4~5フィート (約1.2~1.5m) は、45~60%入るということで、大体 50%、
6~7フィート (約1.8~2.1m) は、15~25%入るということで、大体 20%。

という風に考えられます。
(ローハンディキャップの方はこれよりも入る確率がもう少し上ですが、PGAのツアープロのデータよりは下になるでしょう。)


つまりですね、6~7フィート (約1.8~2.1m)を、入れなければならないショートパットと考えてしまいますと、非常にいらいらした心理状態のラウンドを強いられることになってしまいます。 20%しか入らないんですから。 PGAのツアープロでもこの距離は 40-50%ですから、ローハンディキャップの方でも 30%くらいなものでしょう。

入るか入らないか 50-50ってなるのが、4~5フィート (約1.2~1.5m) くらいです。(HDCP15-25)

逆に言いますと、8フィート (約2.4m) 以上あるパットはすべて、もう全部どんな距離であってもラインであっても、3フィート(約90cm) 以内につけておく、できれば 2フィート(約60cm) 以内に付けておいて、セカンドパットを確実にしたい、というのがスコア・ダウンのための鍵ですので、パッティング練習はこの部分に尽きると思いますし、読みやストローク技術、グリーンの知識などパッティングの科学が効いてくるのは、この部分です。
syoballさんの言葉を借りますと、運ではない部分。


2mの距離をひたすら練習する、ってよく言われたりしますが、7フィート (約 2.1m) のパットを、ものすごくひたすらに練習して練習してたとえ極限まで上手くなれたとしても、PGAのツアー・プロの平均値の45%を超えることはまずありません。
猛練習で 15%が30%に近付けば御の字ですから、ラウンドにこの距離が2-3回あったとしてスコア改善の期待値としては、0.4ストロークくらいでしょうか。


パッティングには傾斜・ラインがありますから、一概に距離だけで言っても、とても入りやすい軽いのぼりのごく軽いフックラインの 2mは20%よりももっとずっとカップインしやすいですし、たとえ 60cmでも横のしかも下りのラインでカップを外して狙わなければ入らないようなパットは 90%も入りません。

でも一般的な概念として、こういったデータは把握しておいても良いんじゃないでしょうか。

ショートパットを外してしまって、ラウンド中に必要以上にフラストレーションを感じないため (自衛のため) にも、外してすごくがっかりするのは 3フィート (約91cm) 以下くらいにしておいた方が、精神衛生上よろしいんじゃないかと考えました次第です。

楽しいゴルフライフ、人生にとってとても重要です。 (^^)



*パーセンテージは、ラウンド中のパッティングが前提です。 曲がりとスピードのラインが分かっている場合にはもっとずっと高い確率で入るはずです。



2/02/2019

AXIS1 実際にショップで打ってみました。


今年ときどき練習場に行くようになったゴルフ場にヘリコプターが来ました。


ここでホバーリングしてから、なんか液体を撒いてました。
でもなんか訓練っぽかったです。

すぐ隣が飛行場なんですよね。
ここまで低いと、おーっ! てなりますね。(笑)


---

2009年にこのパターの存在を知って、...実に10年越しで実際に触ってみることができました。

以前ご紹介しました記事は、こちらです。 → 「Axis 1 パター

初めて見た時は、こりゃ一体なんじゃろかい?って思いましたね。造形が衝撃的でした。

(画像をクリックしますとAxis 1 のサイトに飛びます。)


まぁでもその後に、2015年に「Edel Putter 」(過去記事) が出まして、2016年に「OdysseyのToe-Up パター 」(過去記事) も出まして、この種類のトルクバランス・タイプのパターを試し打ちできた経験が過去にありまして・・・、

パターに任せて自動的にまっすぐに向いたストロークでショートパットがオートマチックに決まる、といった類の効果は望めないことは分かっています。 
(日本にもニュートン・プロライン・パターというのがあったとsyoballさんに伺いました。)


とはいえ、デモ・クラブがショップにありましたのでトライしてみない手はありません。


こちらは少し後から出た、AXIS 1 Joey-C というタイプでしょうか。
少しだけ形状がおとなしくなっています。


確かにトゥアップの位置でバランスしますね。


バック側はこんな感じ。


やはり珍しい形状のパターです。


カップに向かって構えて上から見るとこんな感じです。


上からの見た目としては、センターシャフトのキャッシュイン・タイプの雰囲気を醸しています。
でも横にしてヘッドをバランスさせたら、向きは真反対ですが。

( 1球、パッティングでシャンクしたというのは私のヘボさから起きたことなので内緒にしておきます。 上の写真を見ていただきますと何が起きたか想像していただけるかと。)  ←ここ結構重要 (笑)


こちらのグリップには私の好きな「ラムキンのディープエッチド・グリップ」が採用されていました。


グリップが同じなので慣れていてグリップしやすかったのですが、ストロークしてみますと私のパターとはまるで違いますね。

アーク・タイプのストロークをする私が使いますと、ちょっとしたことでフェースの方向はブレブレになって、ショートパットがまっすぐ行かないことが多発してしまいます。

まっすぐストロークできるタイプのゴルファーには良い効果があるのかもしれません。



さて、こちらは AXIS 1 Joey-C よりも前に出た AXIS 1 Umbra というタイプです。

線を引いたフラップがトップに付けてあって、構えやすく、まっすぐストロークしやすくしているタイプですね。




この機能は、アーク・タイプのストロークの助けにはあまりならないかも知れません。


こちらのグリップは WinnのAVS が採用されていました。
ラムキンのディープエッチド・グリップが出る前だったのでしょうかね。



こちらに、AXIS 1 のパターのラインナップがあります。↓



ロングパットに関しては、ピンタイプやL字タイプの方に有意差があると思います。
やはりアイアンとかウエッジのような感覚で使いやすいと思いますので。

もっというと、アイアンやウエッジにはバランス角が付いていますから、L字タイプよりもむしろピン・アンサータイプの方がバランス角が付いていて動きのイメージに合うと思います。


「トルクがない」ということが売りになっているパターですが、逆に言うと、トルクがない分ちょっとでもオフセンター・ヒットとかフェースの開閉とか、グリップ強度とかの手ブレ要因などその他の要因があると、すぐにフェースが回ってしまいやすいってことでもありますよね。
小さな力でぐるんぐるん回っちゃうわけですから。
せっかくの慣性の力を利用できません。

それにしても、こうして打ってみることが出来るというのは、持っていた興味を実体験できるってことで、とても嬉しいことだなと思いました。



1/29/2019

Flag in ... or flag out? (ピンは立てたままパットする? それとも抜く?)


先々週末は友だちとMarshall Canyon GCに行ってきました。



紅葉がきれいですね。
(南カリフォルニアですので、こんな時期に紅葉してたりします。)
コース内に、何組もの鹿の家族が暮らしている模様です。

山のへりにありまして コース全体がかなり傾いていますので、ティーショットも斜面を考えて打っておかないと全部流れていきます。
グリーン上に立ってしまうとホール全体の傾きが見えなくなってしまって、なんだかボールが坂を上る方向に曲がっていくような錯覚を起こしてしまします。
前半のパッティングはものすごく苦労しました(というか外しました)が、後半は長いのがやけによく入ってくれました。



---


今年から新ルールで変更された中に、旗竿をカップに立てたままパッティングしてよい、というのがあって、みんなこれについて議論しあったりしていますが、そろそろ落ち着いてきた感じでしょうか。

PGAのツアー・プロも、まずはいち早くブライソン・ディシャンボーが『僕はなるべくピンを立てたままプレーするよ。』って表明して物議をかもしましたし、先週のトーリー・パインズで行われたファーマーズ・インシュランス・トーナメント見ていましても 2位に入ったアダム・スコットはショートパットに至るまで全部ピンを立てた状態でパットしていました。

立てたままパットした方がカップインする確率が高いのは実証されて証明済み、という空気に落ち着いてきています。

ただし、ツアープロの間でも、我々通常のゴルファーの間でも、やっぱりピンを抜いてパットしたい、という方々は少なくない様子です。

そもそもね、プレーのスピードアップのためにこのルールが導入されたのですけれども、ピンを立てたままカップインして、さらにピンを立てたままボールをカップから拾おうとする人が多いんですけど、これが結構時間かかったりします。(笑)


私としても、この議論にカーブボールを投げておこうかと思います。


まずはこちらのデータ。

イタリアのプロモリナリ兄弟のお兄さんが実験してみたところ、ピンフラッグを抜いてパットした方が有利な場合があるという結果を得ました。
このデータ、あまり出回っていませんので意外ではないでしょうか?

Edoardo Molinari conducts pretty scientific putting/flagstick experiment — and the results may surprise you

クリックで元記事サイトの画像にリンクしてます。


表の中で緑に塗ってある部分のデータはピンがあった方がカップインしやすいけれども、赤く塗られているデータは、ピンを抜いた方がカップインしやすい。という結果になっています。

モリナリの実験では、カップの中央にちょうどカップインするスピード、カップの後ろの淵(壁)にボールが当たるスピード、空中に跳ね上がるスピード、の 3種類のストロークの強さで比較しています。

カップの後ろの淵(壁)にボールが当たるくらいのスピードで打った場合は、ピンに当たるアングルとピンを擦るアングルの両方でピンが無い方がカップインする確率が高いというデータですね。

これはピン立て派に対するひとつの反旗を翻すデータになっています。



My Golf  Spy.comで掲載されていたデータも載せておきます。
こちらは基本的には1990年にデーブ・ペルツがすでに行っていた実験の焼き直しですね。
ツールも同じもの (True Roller) を使っています。

TESTED: FLAGSTICK IN (VS) FLAGSTICK OUT?

クリックで元記事サイトの画像にリンクしてます。


ほぼすべての条件において、ピンを立てたままパットした方がカップインの確率は高い、という結果になっています。

ストロークの強さとしては、(カップがなかったら) 3フィートオーバーするスピード、6フィートオーバーするスピード、9フィートオーバーするスピード、の3種類です。
ピンに当たる角度としては、ど真ん中と少しずれてあたる位置の2種類。

二つの表がありまして、真っすぐなピンと、ハイコアになっていて下の方を細くしてあるピンの2種類で行われています。



どちらの実験も、詳しくは書かれていませんが、平らなグリーンで行われた実験のようです。

これに加えまして、デーブ・ペルツの本に書かれている実験は、1990年に、グリーンの外からチップインを狙うケースを想定してグリーン上で True Roller を使って転がして実験されていまして、もっと条件は多く球数も多く実験されています。

スピードは3種類でMy Golf  Spy.comのと同じ、3フィートオーバー、6フィートオーバー、9フィートオーバーの3種類で、エイミングとしては、ピンの中心、ピンの左右の端の位置に照準したもの、それからその間の位置に照準したものの5種類、さらに上りのラインと下りのライン、サイドライン、という実験を、2種類の違った芝のグリーンで行った、と書かれていました。
そればかりか、ピンが手前方向に傾いている場合、向こう側に傾いている場合、横向きに傾いている場合、なども想定してテストしたと書かれていました。

さすが元NASAの Researcherです。いつもながら半端ないです。

そして、そのほぼすべての条件において、ピンは立てたままの方がカップインしやすい、と結論付けています。

以前私のブログにも、ペルツ・コーチの実験をご紹介しています。
ご参考まで。 ↓

     「ピンフラッグは「抜かずにお願いします。」の巻


ゴルフのマッド・サイエンティストとの異名を持って呼ばれているブライソン・ディシャンボーはデーブ・ペルツの本は熟読していますから、このデータは当然知っていての発言だったと思われます。


ですから、ピンは立てたままパットしましょう。・・・と結論すべきところですが、私はモリナリの実験も踏まえてちょっと考えました。